17人の作家・文筆家・漫画家・発明家が自らの「身体」と向き合い、それぞれの切実な体験を激しく、直截に、真摯に語るエッセイ集。「男は煩悩即菩提、女は生死即涅槃」と説かれるが、女性の生死がいかに激しく切実なものか、衝撃的に迫ってくる。
死ぬまで離れられないこの身体。性、性被害、自慰、妊娠・出産、タトゥー、痴漢、売春(性の商品化)、自傷、トランスジェンダー、SM、暴力、他者の視線と内側からの視線の衝突、変化していく肉体と心・・・・・・。あまりにも赤裸々な独白で圧倒される。身体と向き合うなか生死の無明の淵底が浮上する。
「タイトルの『私の身体を生きる』を、私はまず自分について肯定できない。肯定できる日が来るとも思えない。極力私は、私の身体なんか生きたくない。捨てられるものなら捨てたい」(能町みね子)、「生身の身体はなくなってほしかった。自分がこの身体を持っていることを意識しないで生きていきたい。ねじでできた、無機質なものになってほしかった」(柴崎友香) ・・・・・・。離れようがない自分の身体という厄介なものとどう付き合うか。17人それぞれが全く違う視点で述べる。
「B e t t e r l a t e t h a n n e v e r(島本理生)」「肉体が観た奇跡(村田沙耶香)」「『妊娠』と過ごしてきた(藤野可織)」「身体に関する宣言(西加奈子)」「汚してみたくて仕方なかった(鈴木涼美)」「胸を突き刺すピンクのクローン(金原ひとみ)」「私は小さくない(千早茜)」「てんでばらばら(朝吹真理子)」「両乳房を露出したまま過ごす(エリイ)」「敵としての身体(能町みね子)」「愛おしき痛み(李琴峰)」「肉体の尊厳(山下絋加)」「ゲームプレイヤー、かく語りき(鳥飼茜)」「私と私の身体のだいたい五十年(柴崎友香)」「トイレとハムレット(宇佐見りん)」「捨てる部分がない(藤原麻理菜)」「私の三分の一なる軛(児玉雨子)」の17のエッセイ。