2012年12月、第二次安倍政権が始動した。第一次政権があのように終わって5年――本書にもあるが、地獄を見た5年だったと思う。私も共に地獄を見たゆえに「日本再建」「日本はこんな沈んだ国ではない」「もし再びのチャンスが与えられたならば、全てを投げ打って、遮二無二働く」――ニ人にそれは共通したマグマだったと思う。
「安倍晋三政権クロニクル」――帯に「『戦後』を終わらせるため、彼は戻ってきた」とあり、「19回の本人インタビュー&菅、麻生、岸田・・・・・・肉声の政治ドラマ」とある。特に政治家だけでなく、今井秘書官をはじめとする官邸スタッフ、学者・有識者など優秀なブレーンを結集・結束させた執行部形成能力が安倍政権の特徴であり、船橋さんはそこを徹底的に取材をし、安倍政権の戦略性と具現化への戦いを浮き彫りにしている。
<上>は、「再登場」「アベノミクス」「靖国神社」「尖閣諸島」「TPP」「慰安婦」「戦後70年首相談話」「平和安全法制」「広島/パールハーバー」「消費税増税」の10章。随伴してきただけに思い起こすことが多いが、関係当事者がどういう思いで戦ったか、改めて各プレイヤーの肉声に触れることができた。戦略的に挑戦、行動する――それが安倍政権の特徴であったと思うが、それにしても、凄まじい激闘の日々であったことが蘇る。