クラウス・シュワブ第四次産業革命.jpg副題は「ダボス会議が予測する未来」。IoT、AI、ロボット、シェアリング・エコノミー、インダストリー4.0、第四次産業革命・・・・・・。社会の激変のなか、ダボス会議の創設者として世界の政治・経済を観察してきた著者が、その衝撃と未来を解説する。

今、進行中の第四次産業革命が経済や企業、地政学、国際安全保障、地域、都市等、社会に多様な影響を及ぼすことは明らかだ。少数の"スター"に桁外れの報酬をもたらし中間層を脱落させることで、雇用環境を激変させる不平等拡大、労働コミュニティ・家族・アイデンティティ破壊への脅威、経済指標の変質(モノの移動や量的指数から低価格・効率向上の経済指標への変化)、国際安全保障を一変させるサイバー戦争・ロボット戦争等の脅威・・・・・・。大切なのは、それらの大激変を見すえての「人間を中心に据えた、人間が優先される未来をつくる意思」「イノベーションと技術の中心に人間性と公益追求を据えて持続可能な発展を実現させること」だという。そのためには、複雑化、細分化、高速化されるハイパーコネクティビティ社会におけるリーダーには「状況把握の知性(精神)」「感情的知性(心)」「啓示的知性(魂)」「物理的知性(肉体・胆力)」がますます重要だと指摘する。

最後に付け加えられている具体的な事象、「ウェアラブル・インターネット」「ユビキタスコンピューター」「IoT」「住宅・都市」「自動運転」「ビットコインとブロックチェーン」「3Dプリンターと製造業・健康・消費財」「デザイナーベビー」などについてティッピングポイントと2025年までの予想が付加されており、興味深い。流れは速い。


認知症の家族を支える.jpgいまや"ガン"以上に"認知症"になったという衝撃は大きい。厚労省によれば、2012年の日本の65歳以上の認知症有病者は推計約462万人、2025年には約700万人で、高齢者の5人に1人が認知症の患者になるという。

認知症は"病名"ではなく"症状"。アルツハイマー病や脳血管障害、レビー小体型、前頭側頭葉変性症(ピック病ほか)といった原因となる疾患があり、それによって言語をはじめとする認知機能が低下・喪失し、生活力が失われた状態が続く"症状"だ。だから「治せるもの」と「治せないもの」があり、早期発見が大切となる。「ケアの最適化」と「薬の最適化」が重要であり、家族の「マネジメント力」によって改善の可能性のあることを指摘している。多量の薬を服用する「多剤併用」や「残薬」の問題点にも現場から厳しく迫る。「ケアと薬の『最適化』が症状を改善する」が本書の副題だ。

高瀬さんは、在宅医療を中心とした「たかせクリニック」を立ち上げ、現在は約350人の認知症の患者を診ている。認知症治療の最前線を、患者と家族に寄り添って具体的なあり方を提唱している。


大暴落ガラ.jpg女性初の総理・三崎晧子が誕生したその時、荒川上流にかつてない豪雨が襲いかかる。まだ組閣すらできていない。与党が割れ、野党の支持もあって誕生した三崎内閣の内部に抱える脆弱性もある。ゼロメートル地帯、地下鉄・地下街の広がる東京を襲う大洪水、加えて東京外為市場で円が売られる国債の大暴落――"アラカワ・ショック"。

立ち向かう三崎総理、国交省の関東地整・荒川下流河川事務所の里見所長ら。随所に不自然さや極端な善悪二分は気になるが、脆弱国土と脆弱社会・日本の危機管理を問いかける。


騎士団長殺し1.jpg騎士団長殺し2.jpg妻から別れ話を切り出された36歳の肖像画家の「私」が、東北・北海道をさ迷った後、友人の父親である著名な画家のもつ小田原郊外のアトリエで一人で暮らすことになる。そしてその屋根裏に隠されていた絵画「騎士団長殺し」を発見する。また谷を隔てた向かい側の山の豪邸に住む免色という男や、尾根続きの山にある家に住む中学生(秋川まりえ)とその叔母(笙子)との交流が始まるが、不可思議な出来事が次々起き始め巻き込まれていく。

「眼前に広がる現実と人間の意識が、深層から湧出した一部の表層であること」「人であることの中核を成すものは何か」を、肖像画をモチーフにイデアと称する騎士団長等や、アトリエ裏の雑木林で発見される不思議な穴(石室)などによってきわめて精妙に語っていく。この世界と異界、有無を越え有無に偏する生命実相、主体と客体とその依正不二の相、夢と現実との境界と交流・交差、意識とその深層の未那識・阿頼耶識・九識からの湧出、イデアと心中の善悪、人間変革の機縁等々を、切れ目なく描く。サスペンスと人間存在の哲学性と芸術・文化の絶妙なコラボレーションと洗練された緻密かつ甘美な描写に引き込まれる。難題への挑戦と深さにおいてドストエフスキーの世界を想起したが、重苦しくないのは善人たちの登場と、穏やかな結び、柔らかな曲線的表現であるがゆえか。


デジタルグリッド.jpg社会も技術も大変革の時代、変化激しき時代だ。IoT時代、AIの進展、パリ協定の発効。世界は再生可能エネルギーを急速度に導入しなければ、2050年を迎えられない。再生エネルギーが急増した場合、現在の電力系統は十分ではない。エネルギーの地産地消、住宅でも太陽光発電、外断熱などゼロエネ住宅、スマート住宅、ひいてはスマートウェルネスシティが目前の課題となる。スマートグリッドは重要だが、デジタルグリッドは電気系統の周波数や電圧をはじめとする電気的な制約を取り払って、しがらみなしに電気を自由に取引する仕組みで、東大技術経営戦略学専攻特任教授の阿部力也氏が研究、実証試験がスタートしている。

「従来の電力系統に加え、自営線による多重受電網をもつセルグリッドを無数に構築する。セルの中では多種多様な再エネ技術が開発され、太陽由来のエネルギーをふんだんに取り込み、さまざまな電力パケットとその派生物が取引される。既存の電力系統は、自立するセルと協調して、ベストエフォートなシステムとなり、総合的には高い信頼性をもたらす。メッシュ構造の電力ネットワークで膨大な電力取引を実現しつつ、最終的には日本の電力系統の再エネ比率を80%まで高めることを実現する」と数十年後の実現めざし、結んでいる。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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