時は13世紀。「大水滸伝」シリーズ、「チンギス紀」の壮大なドラマを描いた著者が、いよいよ大モンゴル国が草原の戦いから海を渡り、日本に迫る姿を壮大なスケールで、。チンギスの孫クビライと、鎌倉幕府の8代執権・北条時宗の存亡をかけた戦い「元寇」。本書「狼煙の塵」はその序曲。大モンゴル国、クビライの脅威を逸早く感ずる第6代執権・北条時頼。この二人を中心に緊迫の度を増す世界史のドラマを描く。嵐の前の静けさ、そしてひたひたと地鳴りが響く。
偉大なチンギス・カン亡き後の13世紀のモンゴル帝国は、王座が空位のまま権力争いにより混沌としていた。チンギス・カンの弟たちによる東方三王家(カサル、カチウン、テムゲ)、息子の家系である西方三王家(ジョチ、、チャガタイ、ウゲディ)が東西を支配し、クビライはチンギス・カンの孫(父はトルイ、母はソルコクタニ・ベキ)であった。クビライは祖父・チンギスの足跡を追う。長い旅路の中で、様々なものを見る。そして草原の先は行き止まりではなく、その海の向こうにまた国があり、物流、利権争い等が日常的に行われ、莫大な富があることを知る。ウラジオ(速頻路)、高麗、そして日本。そうしたなか兄のモンケが第4代の皇帝につき、重きを成したクビライの東方への拡大が始まっていく。海はクビライを魅了した。
一方、日本は鎌倉時代。激しい政争を経て得宗家の時頼は第5代執権に就く。極楽寺重時、安達泰盛らの献身的助けを得て権力を確立していくが、「海の向こうに強大な国がある。それは西へ拡がり、とてつもない版図を有している」「精強な騎馬軍団で周辺を呑み込み続けている国が海の向こうにある。馬は海を渡れないと考えれば、安心できるのか。馬を船に乗り換えたら、どういうことになるのか。高麗は悲惨な状況だと聞くが」----。時頼は水軍の準備を進めていく。重時、泰盛らとともに松浦党、波瀬兄弟、梶原青児、安房小太郎など全国の水軍・水師と関係を深めていく。
やがて来る「元寇」の時代が幕を開けようとしていた。
