とにかく、めちゃくちゃ面白い。シジュウカラに言語能力を発見し、動物たちの言葉を解き明かす新しい学問、「動物言語学」を創設、世界的に絶賛されている著者。「シジュウカラには言葉がある。空にタカが現れたら『ヒヒヒ』と鳴くし、ヘビを見つけたら『ジャージャー』と鳴く。仲間を呼ぶ時は『ヂヂヂヂ」だし、警戒を促す時は『ピーツピ』だ」と軽井沢にこもって徹底調査した結果を学会で発表する。驚天動地とはこのことだ。「動物たち何をしゃべっているのか」(山極寿一・鈴木俊貴著) を2年前に読んだが、今回は著者単独の著作。
「アリストテレス以来、『動物の鳴き声は、快か不快かを表すに過ぎず、人間の言葉のように意味を持つものではない」「動物の鳴き声は喜びや怒りといった感情を伝えるだけだ。言語を持つのは人間だけである」と言うのは、2000年以上にわたる人類史上最大の誤解だと論証する。
研究を進めると、「ヒナがまだ幼く羽毛が生えていない時期であっても、親はヘビを見つけると『ジャージャー』と鳴くことがわかった。これは、ヒナの脱出を促すというより、つがい相手にヘビの存在を知らせるために鳴いている。ヘビ見たときにだけ、『ジャージャー』と鳴く」と言う。「ジャージャー」はヘビを示す"名詞"のようなもの。すごい発見である。そしてシジュウカラは文を作る。「ピーツピ・ヂヂヂヂ」は「警戒して・集まれ」というニ語文で、「モズなどの天敵を追い払うため、仲間を集める号令なのだ」と、作文能力の存在を証明している。そこに至る研究努力たるや、凄まじいものがあり、感動する。
さらに、シジュウカラ語の「ピーツピ・ ヂヂヂヂ」の「ヂヂヂヂ(集まれ)」の部分をコガラ語の「ディーディー(集まれ)」に置き換え、「ピーツピ・ ディーディー」というシジュウカラとコガラの混合文を実験をしたところ、シジュウカラは理解できたと言う。「ルー大柴のルー語を通じて、世界で初めて動物も文法能力が解明される」ことになったわけだ。執念と発想に驚嘆する。
親鳥がヒナに餌をやる時、翼をパタパタ小刻みに震わせ、「お先にどうぞ」とジェスチャーをすることも発見している。鳥が種をつつく時に頻繁に空を見上げるが、天敵を警戒していると言う。
とにかく面白くて楽しい。「動物たちの豊かな言葉の世界を共に解き明かそうではないか!」「AIでもどうしても得られないものがある。それは、僕たち自身と自然との関わり合いの中から生まれる、世界についての新たな気づきや発見である。だからこそ、自然観察は楽しいのだ」・・・・・・。
