中学生、高校生で最も読まれている小説。2023年、最も売れた小説だという。確かにとても面白い。謎解きに引き込まれる。
オカルト専門のフリーライターとして活動している私。知人から人生初の一軒家を買う決心をし、都内に理想的な物件を見つけたが、「間取りに不可解な点がある。1階に謎の空間あって、なんとなく気味が悪い」と相談を受ける。そこで、大手建築事務所に勤める設計士の友人・栗原に協力を求める。謎の空間だけでなく、2階の真ん中に子供部屋があるが、窓が1つもなく、トイレ付きでまるで監禁室のよう。3人家族だったというがベッドの数が1つ多い・・・・・・。不可解な間取りを指摘され、「殺し屋一家が作った殺人屋敷?」と、栗原は冗談のように言うのだ。
結局、彼は買うのをやめたが、そんな時、あの「変な家」の近くの雑木林で、左手首のないバラバラ死体が発見される。「変な家」を巡る栗原の憶測話を記事にすると、「あの家について心当たりがある」という女性・宮江柚希が連絡してくる。「私の主人が・・・・・・あの家の住人に殺されたかもしれない」と言うのだ。そこから恐るべき闇の事件に巻き込まれていく。
殺人のために建てられたと思われる東京、埼玉の2つの「変な家」。そこで暮らしていた姉を探す宮江柚希(実は片淵柚希)。彼女が語り始めたのは片淵家の実家で起きた従弟の不可解な死であった。その実家も奇妙な構造を持つ「変な家」であり、片淵家は「左手供養」の呪いに縛られてきたことが明らかになっていく・・・・・・。"八つ墓村"を思わせるような、いやそれ以上の氷りつくような恐怖。それを代々抱える片渕家の怨讐・・・・・・。
今の中高校生がこういう本を読んでいるのか。ちょっと意外な気がした。