尾崎紅葉「金色夜叉」の初の完全漫画化!「金色夜叉」が書かれたのは、日清戦争後の明治30年1月1日から明治35年5月1日まで讀賣新聞連載。1900年前後の欧米化の波が押し寄せている時代だ。37歳で亡くなった尾崎紅葉の30代前半の作品。映画、ドラマ、舞台と数限りなく演じられた作品だが、漫画化は初めてと言う。新潮文庫では「前編」「中編」「後編」「続金色夜叉」「続読金色夜叉」「新続金色夜叉」と700ページにも及んでいる長編。
一高の学生・間貫一は、孤児であったが、鴫沢家で育てられ、娘の宮と将来を誓い合う。しかしお金持ちの息子、富山に宮を奪われ、ふられた憤怒と悲嘆から、学士どころか社会の嫌われ者「高利貸し」となって、拝金主義の社会と自分を捨てた宮への復讐を誓う。当時の家制度の重さで、宮は貫一を心から愛しながらも違う行動を取る。家制度、悪辣な高利貸し、妾を何人も持つ金持ちの男たち・・・・・・。当時の社会に押し潰された貫一と宮。そこに貫一を求める美人アイス(高利貸し=氷菓子)の赤樫満枝、友人の荒尾などが絡む。
貫一は、人間であることをやめ、あえて人でなしの人生を選ぶ。宮は富山と結婚したが魂をなくしたように生き身体を壊す。そして、2人は偶然再会するのだが、貫一は許さない。
数年後、高利貸しを止めて弁護士となった貫一は、栃木県、塩原旅館で若い訳あり男女に会い、心中から救う。ここからの結末を、のぞゑのぶひささんが付け加えている。