「成瀬は天下を取りに行く」は大津市だが、今回は浜松市。学生時代からずっと同じマンションに住み、Webライターとして生計を立てている40歳、独身の猪名川健人。婚活事業を営む「ドリーム・ハピネス・プランニング」の紹介記事を引き受ける。雑居ビルに小さな事務所を置く零細婚活会社だ。手作り感溢れる地味なパーティーに取材に出かけると、そこに現れたのは、張りのある声で見事にパーティーを仕切る美しい司会者・鏡原奈緒子。彼女は、脅威のカップル成立率を誇る伝説の司会者(婚活マエストロ)と言われていた。
いつの間にか巻き込まれ、ドリーム・ハピネス・プランニングを手伝うようになってしまい、婚活パーティー、シニア向け婚活パーティー、婚活バスツアー、そして市が主催する大きな婚活パーティーにも参加することになる。そこで出会いや結婚を求める高齢者も含めた多くの人がいることを改めて知る。そこでの会話はマンションに閉じこもってばかりいた猪名川にとって、新鮮であり、新たな生活への窓が開くことになる。そして、伝説の婚活マエストロ・鏡原奈緒子に惹かれていく。
現在の婚活事情、出会いを作る婚活事業の現場が、伝説の婚活マエストロを通じて、生き生きと紹介される。そして40歳独身男の心が動き始める。