「再建のための選択肢」副題。「物価は上がらないもの」「給料は上がらないもの」「金利は上がらないもの」と3つのノルムに支配された20年余のデフレの日本。今、物価が、目指した2%以上上がり、賃金も2年連続上がり、いよいよ「物価を上回る賃金上昇」のデフレ完全脱却、ノーマルな経済になろうとしている。ここで、「日本銀行は2016年以降続けてきたマイナス金利政策を解除し、わが国においても、本格的な金利上昇局面入りが意識されるようになった」わけだ。ここで「世界最悪の借金大国・日本」「負担なき大盤振る舞いで崖っぷち、世界最悪の借金大国に迫る『危機』」の日本財政を考える著作。
「"財政事情は世界最悪"の国が財政破綻せずにこられた理由」――それは「『何も起こらない』のは利払費が増えずにすんできたから。ずっと横ばいで、2025年度予算案の歳出でも、利払費は10.5兆円」「日銀が国債を買い占めてきたから」「『利払費圧縮』の代償は、日銀財務の悪化」と言い、「我が国でも円安や物価上昇が、このまま続けば、日銀が金利をさらに上げていかなければ、円安もインフレも止められなくなることは自明」と言い、危機を示す。
第2部「シミュレーション 日本の財政はどうなるか」、第3部「聖域なき歳出削減 何をどう減らすか(医療・介護・少子化対策、年金=第3号被保険者制度をまだ続けますか?、地方財政=地方交付税制度は既に事実上破綻状態など)」、第4部「公平・公正な税制と納得できる税負担を考える」の詳細に述べる。
そして、「政党は財政問題から決して逃げず、悲惨なまでに厳しい財政の現実から決して目を背けずに、実効性のある財政再建プランを策定していただきたい」「財源もないのに、大規模な経済対策を打ったり、大規模な減税策を提案するようなことはもうやめていただきたい」「コロナ危機が過ぎ去り、物価が上がり、市場金利が上がり始めた今こそまさに、誰がどれだけ負担するのが良いか、どうやってこの国の財政運営を立て直していけば良いのか、私たち一人一人が真剣に考えるべき時が来ている」と危機を訴える。