1762479304688.jpg欧米などの世界は、移民と格差を背景にしてポピュリズムが広がり、それにSNSが加わり不安定な政治が続いている。「アウトサイダーポリティクス」とか、「デジタルポピュリズムの時代」と言う人もいる。本書のキーワードは、「右派ポピュリズム」の潮流だ。

「参政党の集会に見られる熱狂と対立の風景はそうした危うさを如実に物語っている」「主張の実証的な裏付けがなければ、それらの言葉は独り歩きし、結果として排外的な感情や差別意識、あるいは根拠の乏しい迷信を助長する可能性が高い」と危機感を抱く。そして、「この悲劇の歴史(第二次世界大戦)が教えるのは、孤立よりも協調、迷信よりも科学、武力よりも経済、そして過剰な精神主義よりも、物質的な豊かさの追求であるという明確な教訓である」・・・・・・。そこに日本では、「反戦」と「協調」、そして「経済重視」の吉田茂以来の「保守本流」があったとする。しかし今やこれとは本格的に異なる「異形の保守」、つまり「右派ポピュリズムの潮流」が形成・拡大してきたとする。それは、「小沢一郎による政治改革」、「小泉純一郎による構造改革」、「安倍晋三による初期政権」を経て、「日本の政治を支配し続けている」と指摘する。

「安倍晋三の『遺産』」「『新たな保守』の正体」「戦後レジームと岸信介」「保守本流の崩壊」「アベノミクスと奇跡の復活」「歪められた言語空間」「保守の終焉」を現場記者の目で論述し、終章として「戦争実感の喪失と警鐘」で、「勇ましく、強くあれと叫ぶ『右派ポピュリズム』に煽られ、平和主義や反戦を『卑怯』と貶める勢力が台頭することに、なかにし礼や野中広務は抗った。戦争の醜さを知る彼らは、生き残ろうとする人間は、時に等しく『卑怯』となることを知っていた世代だ」と言う。また一方で、「左派ポピュリズム」が支持を失う現実、また「バラマキポピュリズム」に堕すことを批判する。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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