1764633860909.jpgこんな管理組合の独裁的で異常管理のマンションがあるのか。と思う反面、老朽化したマンション問題は全国に広がり、複雑で、区分所有者たちの意識が希薄の中でのマンション管理の難しさが痛切に迫ってくる。本書は、マンション自治を取り戻すべく立ち上がった闘争、実に1200日の記録である。東京渋谷区の一等地にある秀和幡ヶ谷レジデンス、約300戸に及ぶ大型マンションの実際の話だ。

25年超に及ぶ不透明な独裁体制と、あまりに異常な管理ルール。「身内や知人を宿泊させると転入出費用として一万円を請求」「平日17時以降、土日は介護事業者やベビーシッターが出入りできない」「夜間、救急車を呼ぶも管理室と連絡が取れず、救急隊が入室できない」「リフォームは簡単にできない(売買が難しくて、資産価値が下落)」「Uber Eatsなどの配達員の入館を拒否される」「マンション購入の際も管理組合と面接が行われる」「引っ越しの際の荷物をチェックされる」「修繕工事も工事業者が指定され、見積もりは1社のみ」・・・・・・。約30年にわたって管理組合を私物化してきた理事長と執行部達と、マンションの民主化を願う住民たちとの厳しい闘争が始まる。

要因は「暴力団関係者が入ってしまって困った」ということから始まったようだが、住民は「有志の会」を結成、「全区分所有者向けに匿名文書を送る」「総会での追及」「委任状集めを始める」「弁護士やマスコミとの協力・信頼関係」・・・・・・。闘いは熾烈を極めた。マンション管理の世界は委任状の争奪戦。過半数の委任状をいかに集めるかがカギ。「チラシ禁止! 部外者禁止!」――警察沙汰の事件も起きる。ついに「過半数135に対して、わずか2票という僅差で勝つ」ことに。

2000年代初頭、「マンション管理問題が重要」と公明党が取り組み、諸制度を整備してきた。老朽化対策・メンテナンス・耐震化。日常の管理、区分所有者の合意形成・・・・・・。マンション自治、マンション管理を取り巻く問題は、複雑で長期化する。大変な闘いの記録を生々しく取り上げている。 

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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