1764806151611.jpg「データが示す『若者と親』の近すぎる関係」が副題。博報堂の生活総研が、30年前と同じ設計で実施した「若者調査」をもとに、首都圏に住む19~22歳のコアZ世代と、その親世代(現在4~52歳、団塊ジュニア世代)を比較分析。「ここ30年で若者の幸福度や生活満足度が非常に高まっていること。その幸福感を構成する『人間関係』において、家族関係が大きく変化して両親、特に母親との距離が近づいていること。さらに同性の友人との結びつきが非常に強くなっていること」を明らかにしている。極めて貴重で面白いデータ分析。

「『今の若者は空気を読みすぎる、他人ばかり気にする』と言うが、空気を読みすぎるのは、若きも老いも差がない。時代と共に皆そうなっている」「『最近の若者はベンチャー志向だ』と言うが、大企業を選ぶ若者が増えている。親が安定した職業を願っている(親の影響)」「『最近の若者は、人間関係が希薄で、一人の時間を大切にする傾向が強い』と言うが、大きくは変化していない。むしろ人間関係を敬遠しているのは中高年」・・・・・・。「今の若者は『成長を知らないかわいそうな世代』」と言われるが、「生活に十分満足している」と答えた人は、30年前の9.4%から、なんと30.0%3倍以上に増加している。

幸福度の3大要素は、「経済社会状況」「心身の健康」「人との関係性」――。最も変化が際立っていたのが「家族」との関係で、幸福感の裏にはこれまでと全く異なる「親密な家族関係」がある。「近く、親しく、密すぎるZ家族の姿」がある。「恋人より、親友より・・・・・・心の拠り所は圧倒的に母親」と言う。また「恋愛観」――1990年代の若者は「恋愛至上主義」であったが、恋愛的な行動を無理にとろうとする若者は減少し、特に「女性の男性離れ」が起きている。

大きな特徴は、「令和の親は絶対的味方――メンター・ペアレンツ」であり、社会進出を果たした母親が家庭でメンター化している。勉強や人生のアドバイザーだ。そして「親子の距離を劇的に縮めたチャットアプリ」だと言う。いつも連携を取り合っている。一方、父親は「課題解決型」のやりとりが頻出していると言う。

Z世代のビジネス現場――「奉仕する部下と上司」の関係は崩れている。「協調性が高く素直で真面目」「目立つことを避ける」「自己主張を避ける」という特徴を持ち、傾向として「指示待ち」。上司は「システム」に徹すべきだと言う。「褒めると叱るはどちらが効果的」と言うが、全く見当違いで、「わかりやすく」伝えることが信頼を得る最短ルートだと指摘している。

Z世代の緊密な関係の先にある課題――若者が『外』に向かう社会へ」――。内にこもるZ世代。日本に典型的な「安心社会」だが、それを基盤として、他者と信頼関係を結び、協働する力が育っているかどうか。開かれた社会で、新しい人をどんどん巻き込んで、新しい関係を作っていくことが大切で、それが世界で求められていると言っている。子供には「体験させてあげること(星友啓)」「困っている人を助けろ(宮台真司)」が大事だと言う。

しっかりしたデータと分析。貴重な提言になっている。 

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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