1776060555414.jpgロシアのウクライナ侵略、アメリカ・イスラエルのイラン攻撃、中国が権益を主張する九段線、トランプ関税・・・・・・。戦後80年、世界が築いてきた秩序がガラガラと崩れる「大転換」の時代に突入している。「後退するアメリカ、仕掛ける中露、混迷する欧州、戦略なき日本」を、中国、アメリカ、ロシア、欧州、アメリカを中心とする安全保障の若き専門家が、小泉悠氏と自由かつ率直に対談する。あえて感情を交えた雑談風であり、極めて面白く現地の気分、潮流が伝わってくる。

「中国から見る大転換(津上俊哉、熊倉潤との対談)」――。「1つの大陸に2頭の虎は並び立たない――今のところアメリカという共通の敵がいて、中露のいろんな歯車が案外うまく噛み合っている」「ロシアの『勢力権』思想と違い、中国は『和平之友』。遠いアフリカや南米の国々と協力して、アメリカを牽制したり、自国の利益を追求していく勢力圏(アメリカの空白が生む中国勢力権の拡大)」「不動産・インフラ投資の精算ができるかどうかが、人民解放軍を維持できるかどうかに影響」「『中国ヒューマノイド』がサブスクになる未来」・・・・・・

「アメリカから見る大転換(金成隆一)」――。「トランプ支持者の言う『今の移民は同化しない』フラストレーション」「激しい格差。『学歴格差』をトランプの下品さが癒す」「理屈じゃない『あなたの生活が脅かされますよ』と言うナラティブ。敵は国内のリベラル」「反エリートのわかりやすく強いリーダーが人気を得る時代」「ヴァンスは新ヒーローなのか?」「完全に共和党にお株を奪われている労働者の味方・民主党が取り返せるか」「エニウェア族VSサムフェア族」・・・・・・。分断国家アメリカの現実を抉り出す。

「ロシアから見る大転換(小林昭菜)」――。「戦争を始めたのは、本当にプーチンなのか? インナーサークルのシロヴィキ(力の省庁)の情報分析」「ロシアの中間層が経済的理由で保守になる」「2014年にクリミアが取られるまで、ウクライナは『EU加盟賛成、NATO加盟は反対』が多かった」「プーチンによってウクライナが作られた。プーチンは、スラブ大分裂をもたらした男」「今回の戦争で、周辺国のロシア離れはますます加速」「ロシアの戦死者は17 万人。地域格差は凄まじい。貧しい人が戦争へ」・・・・・・。内情分析は極めて面白い。

「ヨーロッパから見る大転換(合六強)」――。「30年の時間軸(ロシア)80年の時間軸(アメリカ)2つの軸で、ヨーロッパは大転換を迎えている」「冷戦の終結で西側に入ったロシアが2014年から逆流、違うゲームを始めた」「プーチンのオウンゴール(ウクライナでも2010年頃までNATO加盟に対する支持は低かった)」「NATOの最大の危機とは?(ロシア人を追い出し、アメリカ人を引き込み、ドイツ人おとなしく。これがNATOの機能と言われたが----。各国に見られる脅威の認識ギャップ」「招かれた帝国・アメリカの80年軸だったが、消える現実かも?」「欧州懐疑主義やポピュリズムの台頭」・・・・・・。確かにヨーロッパから世界の大転換が見えてくる。

「安全保障から見る大転換(村野将)」――。「アメリカの変質と日本の立ち位置」「GDP 2%の限界と実質的な防衛力不足」「日本の『ノーガード戦法』と日本人の『腹のくくり方』」「日本の台湾防衛戦線から脱落しない事の重要性」「自衛隊の防衛力とロシアのマッチョイズム」「ウクライナ軍に学ぶ『素朴なレジリエンス』」「航空機用の防護シェルター造り」「核武装の前に、アメリカの拡大抑止をつなぎ止められるかどうか」「人を多く必要な有人航空機や艦艇を早期に退役させ、少ない人員とメンテナンスで運用できる無人システムへ代替するなど、抜本的な戦力構成を見直せ。許容可能なコストで、台湾有事に備える防衛力改革」・・・・・・。極めて専門的でリアリズムからの対談が続けられる。

アメリカ・イスラエルのイラン攻撃以前の著作だが、世界の大転換がリアルに伝わってくる。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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