時は流れるのではない。積み重ねられていく。そして"歴史を画する"衝撃的な事件や出来事も因となり、縁となり、結果となって連鎖によって時は経過する。
「客観的な事実などはない。あるのは1人1人の解釈だけ」とニーチェは言ったが、そこまで突き詰めない日常が"流れ"として続く。思考停止といわれればそうだが、むしろ考えもしないということだ。
本書を読むと、赤坂さんの勢いに連れられて時代と日常に入り込む。
「昭和の戦争と昭和天皇」「憲法の憲の意味」「漢字と日本語」「消えた空き地とガキ大将」「安保闘争とは何だったのか」「連合赤軍事件、三島由紀夫」「ジョン・ダワーの『敗北を抱きしめて』」「1980年の断絶(暴力の残り香、戦争の残照が消えた)」「漫才ブーム、お笑いタレント(コメディアンでもなく場の調停者)」「オウムはなぜ語りにくいか」「この国を覆う閉塞感の正体」「保守派という改革派」「東日本大震災」・・・・・・。
問いを発すること、問い続けることなしに、"古い物語"が生き続ける。経済発展とGDPが至上の価値として続く。東日本大震災(津波、原発事故)において、"新しい物語"が可能であったはずなのに、なかなか紡げなかったし、日本社会は"古い物語"にしがみつこうとした。「人は物語に縛られ、逆に物語に操られてしまう存在だ」「物語のつくりかたは、神のつくりかたに似ている。神とは、物語、フィクションの最たるものかもしれない」という。
戦後は私自身の歴史そのもので、生々しい。思い出しながら、考えながら読んだ。
半沢直樹シリーズの最新作。経営危機に瀕する帝国航空をどう再建するか。劇的な政権交代で国交大臣となった若き白井亜希子は、前政権の有識者会議の出した再建案を覆し、突如、タスクフォースを立ち上げる。そして、巨額な債権放棄を銀行に迫る。半沢のいる東京中央銀行も500億円という巨額になる。旧産業中央銀行と旧東京第一銀行の合併した東京中央銀行は、いまだに様々な場面で旧行の鍔迫りあいがあるうえ、過去の隠蔽してきた乱脈融資・問題融資が隠されていた。
帝国航空タスクフォースは、白井の辞任、その後ろ立ての進政党重鎮の箕部啓治の失脚によって空中分解する。いかにも巨悪と戦う半沢直樹で、現実とは当然違うが、物語としては面白い。
世界は今、どうなっているか。どう動いているか。その裏には何があるのか。そして今後、どうなるのか。日本はどうすべきか。副題には「これは単なる予測ではない、すでに見えている現実だ!」とある。主題は「いま日本が直面しているのは、東アジアでの"冷戦"が終結するプロセスにある流れが生んだ状況なのだ」と指摘する。
「着実な日本経済とアメリカ経済」「シェールガス革命のインパクト」「中国経済とシャドーバンキング」「北朝鮮、韓国の直面する問題」「EU、ロシア、中東の状況」「2015年、日本の課題」などについて、直言している。政治的な分析以上に、背後にあるエネルギー、ものづくり現場など生のデータと、生の情報から、その構造を剔抉している。
温かさがにじみ出る。庭の広い古い家に住む夫を若くして亡くしたテツコとギフ(義父)の暮らし。お人好しの面があるギフや彼氏。悲しみも静かに時間の経過とともに変化していく。「本当にあったことでも、いずれそれは記憶の中で、曖昧になってゆくだろう。本当かどうかなんて、どうでもいい気がした。そういう記憶をまといながら、どこへ行くのかわからないけど、オレはゆるやかに変化していくんだ。・・・・・・」「人は変わってゆくんだよ。それは、とても過酷なことだと思う。でもね、でも同時に、そのことだけが人を救ってくれるのよ」・・・・・・。
「動くことは生きること。生きることは動くこと。・・・・・・この世に、損も得もありません」「でも、たぶん、自分はおめおめと生きているのだ、と思った」「オレ、くたくたになるまで生きるわ」「オレたちってさ、生死を共にしてんだよなぁ」――。悲しみや深刻な場面にも、日常を非日常によって越えていく「親父の背中」「おじさんの哲学」のよう。
人口減少社会は目の前にある。このままいくと896の市町村が消滅する危機にある。副題に「東京一極集中が招く人口急減」とあるように、東京が全国の若者、若い女性を吸い込んでいく"ブラックホール"になる。減少を続ける若年女性人口の予測から、かなり大胆にデータを突きつける。
地方創生の意味が明確に浮かび上がる。国交省として私の長年の政治テーマであった「国土のグランドデザイン2050」を今年7月に打ち出した。個性ある都市を、そして連携で圏域を形成する「コンパクト+ネットワーク」「対流促進型の国土形成」だ。本書は、「人口急減社会への警鐘」を序章とし、「極点社会の到来」「求められる国家戦略(長期ビジョンと統合戦略の策定)」「東京一極集中に歯止めをかける("防衛・反転線"の構築、人口流出を食い止めるダム機能・地方中核都市の形成、コンパクトシティ)」「国民の希望をかなえる――少子化対策(希望出生率は1.8、人口の超長期統計、結婚・妊娠・出産・育児に厳しい日本社会と企業における働き方の変革)」「未来日本の縮図として北海道の地域戦略」「地域が活きる6モデル」――などについて述べている。
論議を急ぎ深め、前に進めたい。
