「出生前診断、生殖医療、生みの親・育ての親」と副題にある。共同通信社の連載記事の単行本化だが、「子どもを産み、育てることの意味」を現場から問いかける。晩婚化、出産年齢の高齢化、少子化社会、医療技術の飛躍的進歩、そのなかでの生命倫理、情報量の多いセンシティブ社会、社会的養護の子どもの増加、支える制度の不備・・・・・・。今、国内の体外受精で生まれた赤ちゃんの累計30万人(12年には約3万8千人)。
こうしたなかで、苦しみ、悩み、もがき、決断し、乗り越える当事者の言葉は、言葉をはるかに越えている。「子どもを産み、育てるとは」「親子とは」「親になるとは」「子になるとは」「生まれた人たちの出自を知る権利とは」「生みの親が育てられない子どもをどう育てるか」――。目の前のきわめて重い現実を突き付けている。
「その顔を、いつも、太陽のほうに向けていなさい。あなたは、影を見る必要などない人だから」(ヘレン・ケラー)――。
ヘレン・ケラーとアン・サリバンの物語を、明治時代の青森に移し変え、弱視をかかえた去場安(さりばあん)と三重苦の介良(けら)れんの物語として描く。それにれんの初めての幼な友だちとなる盲目の津軽三味線・人間国宝となる狼野キワが加わる。何とも言えない感動が広がり、涙した。
原初的な感覚――生きるということ、人間に備わった無限の可能性、生の肯定から噴出する愛の力、最初に教えた「祈り」、差し込む光、生きる希望・・・・・・。見えざる世界を知り、感ずるところに人生が始まり、そこを開示悟入するには師弟がいる。思考が垂直に心に迫ってくる。
「猫の手も借りたい」「猫なで声」「猫のひたい」「ねこ背」「猫に小判」「ねこ舌」「猫の目のように変わる」・・・・・・。一方で猫は「媚びない」「群れない」「あせらない」「気まぐれ」「マイペース」「気高く」「神秘的」・・・・・・。そこがまたねこの魅力であることは、わが家でも「ねこ」がいるからよくわかる。
山根さんは、ねこの誕生から恋、出産、子育て、老い、そして祖先のリビアヤマネコ、家畜化、農耕と定住とネズミ、ノラネコとイエネコ、オスとメスと恋愛などの「ねこの生き方」について、動物学、生態学、遺伝学などをも含めて解き明かしてくれる。その観察は大変だったことがうかがえるが、納得した。
しかし「毎年10万匹が殺処分されている」日本だ。2012年は123,420匹にのぼる。ねこを飼うには覚悟がいる。餌やりが悲劇を招く。「ひと」と「ねこ」が仲良く暮らしていける社会をどうつくるか。山根さんは「ヒントは昔の日本にある」という。そして「"ねこ"という生き物が、昔からこれほどまでに日本人の生活や文化、そして芸術にまで深く関わってきたことを、みなさんに知って頂きたかった」と語る。
「阪神・淡路大震災と東日本大震災」と副題がついている。阪神・淡路大震災から20年――塩崎さんは、「神戸大学で住宅問題やまちづくりを専門としていた立場から、住宅の被害調査や、復興まちづくり、仮設住宅や復興住宅などの調査研究に取り組み、いつのまにか20年が経つ。そして、いまなお震災を引きずり、復興が成し遂げられない人々が存在する・・・・・・」という。「住宅復興が極めて重要で、かつ容易ならざる難問である」「災害そのもので助かった命が、その後の復旧・復興過程で失われるという不条理な『復興災害』を避けることは、人間の努力次第で可能なはずである」と指摘する。
視点は、被災者の生活に貫かれている。復旧・復興が「まち」の復興にとどまってはならない。常に被災者の生活再建の一点から目を放すな。避難所、仮設住宅、復興公営住宅、借上げ公営住宅、復興まちづくりのなかで、コミュニティの崩壊、忘れられてきた震災障害者、孤独死、中小企業や商店主の苦しみ・・・・・・。阪神・淡路大震災の教訓は生かされたのか。それとは全く違う面を多くもつ東日本大震災で、進んだもの、全く対応できていないもの。そうした課題を整理している。
国土のグランドデザインの必要性は、その都度指摘され、「日本列島改造論」「田園都市構想」や全国総合開発計画(全総)などによって提起されてきた。しかしこの20年、未来を描くという作業が十分行われてこなかった。特にこの10数年、「急激な人口減少、少子化」「異次元の高齢化」「都市間競争の激化などグローバリゼーションの進展」「巨大災害の切迫、インフラの老朽化」「地球環境問題」「ICTなど技術革新の進展」という劇的な構造変化に直面。日本はデフレに沈み、未来を描くという意欲すら失っていたように思われる。
私は衆議院議員になってから、国土のグランドデザインの必要性を常に提唱してきたが、国土交通大臣に就任してその策定に着手。約1年半をかけて議論し、昨年7月4日に「国土のグランドデザイン2050~対流促進型国土の形成~」を発表することができた。
そのキーワードは「コンパクト プラス ネットワーク」と「対流促進型国土」である。対流は温度差があってはじめて起こる。コンパクトシティを進める各都市、各地域が個性を発揮して、違いがあるから対流が起き、連携が始まる。私は、公共事業は長期的視野に立って行われなければならないと考えており、2050年という長期を見据えて国土づくりに取り組む柱がこの「国土のグランドデザイン2050」だ。
本書は、この作業に取り組んでいただいた大西隆氏、奥野信宏氏、小田切徳美氏、坂村健氏、寺島実郎氏、藤沢久美氏、野城智也氏、橋本哲実氏をはじめ、国交省の総力を挙げて作り上げ、結実したものである(上記各氏のコメントも本書に載っている)。分かりやすい図表も多く取り入れ、私と増田寛也氏との対談「全国の市町村よ、人口減少に『知恵』と『ネットワーク』で立ち向かえ」や、グランドデザイン2050の本文も掲載している。
時あたかも「地方創生」が重要テーマとなっている。国土づくり、地域づくり、まちづくりに取り組む多くの方々に是非とも読んでいただきたい。
