今風に言えば、「コワーイ」ということになろう。以前なら「世にも不思議な物語」か。愛する夫婦の"心の秘密"、仏法でいうマナ識(七識)、八識のアラヤ
識の世界が、ある瞬間、浮かびあがる。夫婦、親子、友人――しかし、各人の意識の深層は当然、独立している。何気ない日常を描きつつ、最後に人間の怖さを
見せつけるドンデン返し。そんな短編が続くが、放送作家らしいドラマ性が面白すぎてちょっとクサイ。
「自然エネルギーと共同体自治に向けて」という副題。市場や国家などシステム過剰依存による共同体空洞化が、孤独死・乳幼児虐待放置など、あらゆる場面
で噴出しており、共同体自治へ向かうことが大切だ。それはエネルギーも同じで、電力会社も電源種も自家発電も選べる国に脱皮せよ(先進国標準だ)。エネル
ギーや物に頼らなくても幸せに溢れた社会がある――そう宮台さんはいう。飯田市や上関原発に隣接する祝島でのエネルギーや共同体自治の動きを、二人はさま
ざま紹介する。
原発反対・原発推進の構図を脱し、情の日本思考を越えるには、相当な広範、重厚な論議と実証の積み重ねが必要だ。
放射線が人体に与える影響について、これ以上わかりやすく解説はできないほど。言葉と単位、積算――定義から語る。放射線を「正しく怖がる」ことが大切と
説く。大量の被ばくとなると、「同時多発的」にDNAの切断が発生するが、一方で細胞は放射線によるダメージには「慣れて」おり、DNAのキズを「修復」
する能力を身につけている。100ミリシーベルト以下については、「より安全」の確率的影響を述べている。
「危険な原発はいらない」という京大原子炉実験所助教の小出さんの近著。東日本大震災の原発事故――外部からの送電も非常用発電機も使えない「ブラックア
ウト」、「崩壊熱によるメルトダウン」「今も心配な高温・不安定な3号機など」「たまる汚染水」「水棺方式と水素爆発懸念のチグハグ」「放射能汚
染」......。次々と警鐘を鳴らす。
原発事故についてNHKで解説し続けている水野・山崎さんらの緊急出版。「何が起きているかわからない」――こうした国民のいらだちを共有しながら格闘
していた3人に、私が感じていたのは「誠実」ということ、「わかりやすく」ということ、そして「イデオロギーではなく現場」ということだ。今日の事故につ
いて現時点でいえること、問題点が整理される。「福島第一原発で何が起きたのか?(山崎さん)」「日本はどうして原発を進めたのか?(水野さん)」「放射
線の健康への影響は?(藤原さん)」そして「これからの原発はどうなるのか?(日本の今後のエネルギー政策)」を扱ってくれている。原発・エネルギーをめ
ぐる問題について、本書は最もわかりやすい。