歴史探偵 忘れ残りの記.jpg半藤一利さんが今年1月、亡くなった。絶筆となった「あとがき」で「自分で勝手に生涯のテーマと決めている昭和史や太平洋戦争ばかりではなくて、物書きとなったばかりに新聞のコラムや趣味的な雑誌の連載を頼まれたりすることも多くなった。これまで乱読のお陰もあってか、そこで仕込んだ知識を利用して書くのが楽しくなり、ホイホイと引受ける。・・・・・・ただただ昭和史と太平洋戦争の"事実"を探偵することに若いころから妙にのめりこんできて、一人でコツコツと続けて、いつの間にか90歳の老耄れとなってしまった」「井上ひさしさんが色紙だけに書いたという彼自身の『心得三条』――『むずかしいことをやさしく やさしいことをふかく ふかいことをゆかいに ゆかいなことをまじめに書くこと』の秘術を使って書いたエッセイをまとめたものが本書」といっている。「まえがきに代えて」では「生涯読書のすすめ」「悪ガキの少年時代から本好きであった」といい、とにかく人生そのものが、接するもの全てに"好奇心"と"探究心"をもって「時代とともに歩んだ」ことがよくわかる。凄い。

「昭和史おぼえ書き(勅語と詔書と勅諭、上野高女のストライキ、敗戦後一夜明ければ、魔物をつくった人類、神風いろいろ)」「悠々閑々たる文豪たち(隅田川カッパ合戦、ハンケテとハンカチ、欠伸という字、和製漢語のはなし、露伴『五重塔』のモデル、知らぬ顔の半兵衛)」「うるわしの春夏秋冬(『花より団子』のとき、土用の丑の日とは、秋の夕暮れ、師走とつごもり)」「愛すべき小動物諸君(蝉の一声、『狐の嫁入り』とは、本物のハチ号の話)」「下町の悪ガキの船出(悪ガキ時代の言葉、あぐらと正座、向島界隈)」「わが銀座おぼろげ史(無敵鉄牛大行進、アイスクリーム、みゆき通り、仮採用のころと坂口安吾、数寄屋橋、時計のある塔、長井代助と銀座、じじいの嘆き、文士劇、早朝の銀座風景、展覧会紳士、春風銀座乃道)」――。じつに味わい深く、面白い話が続く。謹んでご冥福をお祈りいたします。


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23日、水害対策の「流域治水法案」が衆院本会議で審議入りし、党を代表して岡本みつなり衆院議員が質問に立ちました。

近年、気候変動の影響により全国各地で水害が激甚化・頻発化しており、河川の浸水被害の総合対策をいっそう強化する必要性から、今回の法案を提出したもの。新たなスキームとして、特定都市河川等の指定、流域災害対策計画の策定、計画に基づく雨水貯留浸透施設の整備などの具体的措置ならびに規制措置を定めたものです。

治水で大事なことは、水系の流域全体にわたって、ハードでは「堤防を強化する」「川底を掘る」「川幅を広げる」「遊水池・調節地をつくる」「ダムをつくる」等を組み合わせ、ソフトでは「ハザードマップ」「タイムライン」「マイタイムライン」を地域・自治体と連携をとって行うものです。昨今では「命の山である高台をつくる」ことにも力を入れています。

風水害が頻発する日本ですが、安全・安心の日本をつくるよう頑張ります。


オルタネート.jpg高校時代は青春ドまん中。友情も恋も葛藤も本格化する。我々の時代は、受験勉強を中心とする普通高校と、高卒として社会に出る商業高校・工業高校・農業高校が生きており、社会に旅立つ前の貴重なエネルギー溢るる時、それが高校時代だった。「赤い夕陽が校舎を染めて・・・・・・」の舟木一夫の「高校三年生」は、私の高校三年生の時でドンピシャ。今も同級生が集まるとこのヒット曲を皆で歌う。

さて今の高校生の青春は――これをジャニーズの加藤シゲアキが書くというのだから興味が湧く。よくある富裕と貧困、暴力、セックス、屈折の青春群像ではない。「オルタネート」という高校生限定のマッチングアプリを軸として、調理・園芸・音楽等のクラブとアプリで繋がる青春物語。全国に配信される「料理コンテスト」と「文化祭」がクライマックスになる。

円明学園高校を舞台に、調理部部長の新見蓉(いるる)、オルタネートを心奉する伴凪津(なづ)、大阪の高校を中退してかつてのバンド仲間の豊と会いに上京するドラムが命の楤丘尚志の三人が主人公。三人三様の青春が、料理甲子園のような「ワンポーション」と「文化祭」に収斂されていく。恋とともに、確執のあった友や家族との関係も融けていく。SNSを介した現代的な「繋がり」と、イベントに協力して挑むなかで生まれる「繋がり」。この二つの「繋がり」を通して、成長していく高校生の姿はすがすがしい。


推し、燃ゆ.jpg芥川賞受賞作。「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。・・・・・・それは一晩で急速に炎上した」――。主人公の高校生「あたし(あかり)」は、5歳の頃からアイドルグループ「まざま座」のメンバー上野真幸のファンで、いまや徹底した命にかかわるほどの推し。「理由なんてあるはずがない。存在が好きだから、顔、踊り、歌、口調、性格、身のこなし、推しにまつわる諸々が好きになってくる」「皆が推しに愛を叫び、それが生活に根付いている」「推しを推すことがあたしの生活の中心で絶対で、それだけは何をおいても明確だった。中心っていうか、背骨かな」「推しから発されたもの、呼吸も、視線も、あますことなく受け取りたい。・・・・・・朝、推しくんが耳許でおはようと言うんですよ。目が覚めて最初に聴くのが真幸くんの声なんですよ」「体からだるさが溶け出していって、芯から温もって、ああ、きょう、わたしなんとか生きていけるなって思います」「推しは命にかかわるからね」・・・・・・。日常も勉強もバイトも、みんなのようには全くできない「あたし」。そんな生き辛さ、他との拭い難き違和感、孤独感をなんとか凌いで進めるのは唯一、「推しを推すこと」だ。その推しが、ファンを殴り、グループは解散して芸能界から去っていく。「あたし」は推しがいなくなる衝撃を受け「生きていけない」と思いつつも、周りの大人の顔色をうかがい続けた彼が「自分で光を発し始め」、そして今、引退を自ら決断したことに思いを馳せる。なぜ推しが人を殴ったかはわからない。しかし推しの決断を思うなかで「今までの自分自身への怒りを、かなしみを、叩きつけるように振り下ろす」と思うのだ。著者もテーマも若いがリズム感ある熟練の文体。


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豊島区巣鴨に「徳川慶喜・屋敷跡の碑」ミニパークが完成――。20日、岡本みつなり衆院議員とともに現地を視察、中村安次商店会会長と懇談をしました。ここは、徳川幕府15代将軍・徳川慶喜が明治30年から4年間住んだ地。現在の17号に面したところに門があり、広い屋敷がありました。今回、慶喜の碑をリニューアルオープン、さらに道路沿いにミニパークをつくり、水戸にちなんで、偕楽園からの梅の苗木が植えられました。この日も、道行く人が足を止め、碑文を読んでいる姿が見られました。

現在、NHK大河ドラマ「青天を衝け」で、渋沢栄一と徳川慶喜の出会いの場面がちょうど放映されていますが、渋沢栄一を最初に引き上げてくれた重要人物が徳川慶喜です。渋沢栄一が終の棲家とした北区飛鳥山と、巣鴨は大変近いところにあり、因縁を感じさせるミニパークです。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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