「推し」の時代、ネットの時代――。「推し」に伴う「推しグッズ」や限定グッズ、発売前から話題の限定商品。これらをいち早く大量に入手して高額で売り飛ばすのが「転売ヤー」。「世の中から転売はなくならないですよ。転売が良くないこととされている日本では逆に、ビジネスチャンスがいくらでもある。日本はコンテンツ産業やファッション産業が盛んですし、限定品として販売される商品がなくならない限り、転売は儲かりますよ」「世に転売の種はつきまじ」――。
グループのリーダー、日本で"仕入れ"母国で売り捌く中国人、個人で稼ぐ日本人など、あらゆる手口でひと儲けを狙う転売ヤーたちに密着取材し、その驚愕のカラクリをレポートする。「今後、我々は転売市場という現代にデジタルの衣を纏って蘇ったヤミ市の興隆にどう対処していくべきか」を問いかける。
「ポケモンカードの転売集団(スーパーレアの希少カードに527万ドル、金属探知機によるサーチ)」「PS 5の購入履歴をかいくぐる、転売ヤーSくんの誕生)、「羽生結弦グッズ(ファン心理は格好の餌食)」「ディズニーグッズ転売集団(体力勝負の『仕入れ日』に密着)」――。凄まじい。ディズニーランドでは、グループを組んで出たり入ったり何度でも。「よく見ると、そこかしこに転売ヤー」が・・・・・・。
「クリスマスに現れる『転売サンタクロース』(親が娘にどうしても贈ってやりたい商品)」、「デパート外商を転売スキーム化(高級酒でロレックスを買う)」「転売ヤーの問題点と法規制の現状(2019年チケット不正転売禁止法施行等)(転売ヤーから買わないことが問題解決の第一歩)」、「中国SNS転売事情(インフルエンサーと転売ヤーの狭間)(リサーチも販売もSNSで)」・・・・・・。
転売ヤーとなったSくんは、あちこちのバザーに出かけ、「バザー行脚で転売品を掘り出せ」と動いてると言う。バザーという鉱脈を見つけ、売れ筋商品はスポーツ用品とキャンプ用品だと言う。「格安スマホ転売ブーム(法改正と転売ヤーたちのいたちごっこ)」――ベトナム人の携帯が裏社会へつながっていく。
「クレジットカード・電子マネー(不正利用が転売の原資に) (新幹線乗車券の格安販売など)」――フィッシング詐欺の現金化手段になっていたと言う。2023年のクレジットカードの不正利用による被害額は、なんと540億円。「電子マネーから抜き取った金が加熱式たばこに」と言う。「取り込み詐欺で詐取された物品が転売される例は、枚挙にいとまがない」と言う。闇は深い。転売ヤーSくんのその後として、「プレミアム付き商品券で買い漁る」「転売ビジネスの狩猟のようなゲーム性の虜になっていく」姿をレポートしている。
身近なところで起きている「転売ヤー 闇の経済学」だ。