庶民の手が届かない異常な住宅価格の高騰。今、何が起き、「2030年、不動産市場に何が起こるか」を解説する。「私たちは今、不動産市場の歴史的な転換点に立っている」と言う。
「これから不動産市場を揺るがす7つの変化」――。「(1)少子高齢化・人口減少が一段と進み、コンパクトシティが誕生へ」「(2)金利はじわり上昇、ローンを組む人にはかなりの負担だが、都心の一等地では住宅価格は大きく下落しない」「(3)外国人投資家の参入は増える」「(4)在留外国人の増加が加速、やがて10人に1人が外国人」「(5)好立地マンションはさらに価格上昇」「(6)住宅ローン控除の制度が変更される可能性。優遇がなくなり、利上げ局面となると都心一等地以外の住宅価格は下落も」「(7)地方にもタワマンの波」の7つを指摘する。
「異次元の『三極化』時代がやってくる」――10〜15%は価格維持か上昇、85〜90%の土地の価値は下がり続ける。高騰するのは「都心」「駅前・駅近」「大規模」「タワー」。地方都市も駅前・駅近は上がる可能性。首都圏では「国道16号の外では売るのも貸すのも難しくなるようで、国道16号は不動産業界でルビコン川と呼ばれる。新築マンションは高嶺の花、買うなら中古が当たり前になると言う。
「自治体格差が浮き彫りになっていく」――。千葉県流山市は、つくばエクスプレス、駅前再開発、子育て世代の支援で成功事例。
「買うなら中古が当たり前になる」――。「細かい間取りの3 LDKは売りづらくなり、広いリビングルームのある1LDKや2 LDKへ」と傾向を指摘。その中古マンション選びは「管理」が決め手になると強調する。高齢化や空き家が多く管理組合が機能しないとか、長期修繕計画がずさんなど管理に問題のあるマンションは避けるべき。当然、外壁の剥落やセキュリティーに問題があるものはダメ。
「戸建の需要は全般に下落する」――。広さより利便が優先される時代。駅から遠い戸建は厳しい。郊外では依然として戸建が強いが、立地の見極めが重要になる。これからは省エネ性能の求められるZ EH(ゼッチ住宅)やLCCM住宅の時代。耐震補強、セキュリティー、水害対策に劣る戸建は価値を維持しにくくなる。
「住宅ローン金利はじわじわと上がる」――。住宅ローン金利の利上げ幅が大きくなれば、持ち家率は低下する。故に、必然的に賃貸住宅に住む人の割合は上がる。「不動産投資をして物件を貸したい人には追い風が吹くかも」「不動産投資は立地が良ければ視界は良好」と言っている。
「2030年、『地価が上がる』地域」として、江東区・住吉駅周辺、西東京市・田無駅周辺、神奈川、埼玉、大阪、福岡、熊本各府県の地域を具体的に紹介している。