sisterrei.jpg在留外国人数が増加して400万人を越えようとしている日本。光と影の影の部分、様々な犯罪組織が動き始めていることを描き出した生々しい社会派エンタメ。かつては新宿などの繁華街が舞台であったが、現在は東京23区やその周辺の団地などに広がっているという。本書の舞台は、墨田区とその周辺。

東京・墨田区で、外国人たちの世話を焼き、「シスター」と慕われる能條玲が主人公。彼女は予備校講師をしているが、かつてフランスの特殊部隊のエースという隠された経歴があった。玲の母の在宅介護を任せているフィリピン出身の女性マイラ・サントスから息子・乃亜を探すよう頼まれた玲は、思いがけず、暴力団と外国人半グレ集団との抗争に巻き込まれてしまう。そこでは、激しい抗争が行われており、玲は冷静な判断と磨き抜かれた戦闘技術で暴力団と半グレ集団を制圧する。

周囲の外国人たちのトラブルを次々と解決する玲だが、平穏に見える日本の在留外国人の裏では、敵の敵は味方とばかりの国際的な陰謀が巡らされており、玲はその陰謀・ 事件に巻き込まれ、命の危険にもさらされる。

「私が浦沢組の徳山に会うことになったため、あなたは仕方なく徳山も一緒に拉致しろと命令を変更した。しかし、失敗した上、徳山を悪い形で刺激し、結果、私は徳山から、河東郁美がJ& Sの違法送金に加担していたことを教えられた。さらには、あなた方が違法臓器移植に絡む金を偽装オンラインカジノを通じてやりとりしている事実まで知らされることになった」「リェンの母と兄はJ& Sコーポレーションのトップであり、彼女たちが戻らなければ、今後、J&Sのみならず、他の複数の外国人組織と、中国の秘密警察との間の大規模な抗争に発展する可能性が高い」「日本国内に存在するベトナム人、台湾人、ネパール人、パキスタン人などの外国人犯罪組織が中国秘密警察の子会社化することを、日本、アメリカ、韓国などの政府は絶対に許さないということです」「中国政府が秘密警察を介して発注した、日本に対する攪乱の行為や破壊行為を、直接関係のない外国人犯罪組織が請負い、実行する。両者の間に思想的、政治的な共通点などは一切ない。互いをつないでいるのは金のみ」・・・・・・

様々な国際的な犯罪集団の陰謀、それに絡む日本のヤクザ、半グレ、そして日本の警察。それに巻き込まれてしまう生活不安の中にある在留外国人の人々と、その仲間たち。帯には「極限アクション×非合法組織の抗争×多国籍社会の現実」の「予測不能の衝撃エンタメ‼︎」とあるが、全くその通り。あまりに複雑すぎる事件と人物、激しいアクションに、ついていくのに苦労するほどだ。 

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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