1763342466968.jpg「学問の常識を揺るがした思考実験」が副題。ガリレオ、デカルト、ニュートン、アインシュタイン、シュレディンガー、そして2022年のノーベル物理学賞は「量子もつれ」・・・・・・。人類は、それまでの「常識」「概念」を次々と打ち破る「思考実験」を繰り返し、新たな地平を切り開いてきた。ガリレオから量子力学まで、一冊の中に興味深く集結させる力技に感心した。「シュレディンガーの猫」についても、これだけわかりやすく解説されるのは有難い。

思考実験は科学にとどまらない。「トロッコ問題」「臓器を分ける臓器くじ」「野戦病院でのトリアージ」・・・・・・

「ガリレオの連続物体の落下(重いものも軽いものも同じ速さで落下する)」「アキレスと亀(到着までの過程の再分割、時間空間は無限に分割できない)」「サンクトペテルブルクの賭け」・・・・・・

「クオリア」――「マリーの部屋(白黒の世界に住んだマリーが外に出た時)」「哲学的ゾンビはクオリア(感じ)を持たない」。

「コンピュータは考えているのか――チューリング・テスト」――当然、意味はわかっていない。「宇宙のファイン・チューニングから眠り姫問題へ」――宇宙は、奇跡的に人類誕生に都合が良かったのか、事あるごとに生ずる問題。

「ギャンブラーの誤謬」――9回連続で赤が出たのだから、さすがに次は黒か。これは錯覚。「モンティホール・ジレンマと3囚人問題。心理学でよく用いられる教材。「囚人のジレンマ」の心理実験をすると、裏切り戦略を取る人がほとんどと言う。「ケインズの美人投票ゲーム」は株式投資でも見られる話。

「マックスウェルの悪魔――取り返しがつかないことを元に戻せるか!?」。「ニュートンのバケツとマッハのバケツ――どちらが回っているのか」・・・・・・

「光速度のパラドックス――光速度で、光を追いかければ」「通過する列車上での同時性の思考実験」「自由落下する瓦職人、自由落下するエレベーター」――落下する人から見ると、重力が消えている。アインシュタインは、屋根から落ちる瓦職人の思考実験からヒントを得て、重力と加速度は区別がつかないというアイディアを原理にして、重力の理論である一般相対性理論を構築した。アインシュタインーード・ブロイの関係式」・・・・・・

「シュレディンガーの猫」――量子力学が、古典力学と根本的に違うのは「重ね合わせ状態」という概念。「量子力学は不完全か?――アインシュタインVSボーア(光子箱の中の時計の論争)・・・・・・

歴史に残る思考実験を20 選び興味深いが、難解な課題をわかりやすいイラストを使って説明してくれる。これがまたありがたい。 

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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