1766410693808.jpgドラマや映画を観たあとすぐに、他人の考察動画や考察記事を検索している若者の多くなっているという。令和の今は、「批評」より解釈の"正解"を当てにいく「考察」が人気であり、「ただ面白いとか、ただ楽しいとか、ただおいしいとか、身体で実感できる素朴な感情や感覚だけで満足できなくなっている。そこにプラスアルファの『意味ある時間』を求めている。写真をデータとして残すとか、ドラマの先の展開を予想して当てにいく、ライブを見て楽しむだけでなく推しの順位を上げる。考察して、答えを得ることで『報われたい』という思考が令和の若者にはある」と語る。

「報われたい――それこそが、令和のヒットコンテンツに共通する感情」――。SNSはフォロワーや"いいね"の数が見えて報われポイントがある。

「プラットフォームがヒットを生み出す時代」――。私たちは、「全てがアルゴリズム化していく、つまり『界隈』化の進む社会の中で生きている」「考察したい、推したい、転生したい、気づきたい、成長したい(仕事では『やりがい』よりも『成長したい』)、疑似親が欲しい、正解が欲しい、報われたいという若者たちの姿は、アルゴリズムのレコメンドに押し流される私たちの姿そのものなのだ」「陰謀論や成長幻想。それはYouTubeSNSのプラットフォームにおいて生まれている」と指摘する。今の若者が、XよりもTikTokを見ている。「従来のSNSと違って、TikTokは発信者ではない人も多く見ている(Xで投稿したことがある人の割合は83%)。しかしTikTokは、従来の承認欲求を満たすことが報酬となっていたSNSとは別の存在である」と言う。そして「令和のヒットコンテンツを作りたいのであれば、アルゴリズムに乗っかり、プラットフォームに即した形で、『楽しい実感それ以外の報酬』を与えることこそが重要なのである」「拡散させているのは、人の意思ではない。プラットフォームなのだ。現在はそうやってヒットコンテンツが生まれている」と言っている。

この情報プラットフォームのアルゴリズムは2つの難問を抱え込んで展開する。ひとつは、「プラットホームのアルゴリズムがそれぞれの『界隈』ごとにお勧めしているだけなので、界隈ごとのスターは生まれるが皆が知るスターは生まれづらい(チャンネル登録者数100万人を超えるYouTuberを多くの人は知らない)」。界隈=フラット(正しさがない)、親子ヒエラルキー(正しさがある)となっており、「界隈」化の進む社会でどう生きるかという問題だ。

もうひとつつは「チャッピー」。ChatGPTが「正解を提示してくれる」ことだ。「考察文化とAIはとても相性が良い」という難問だ。「私たちは今、AIを疑似親として求める。なぜならもう信頼できない情報に疲れたからだ。陰謀論やフェイクニュースが溢れ、データベース化されそうなくらいたくさんいる推しの濁流に呑み込まれ、情報が洪水のように湧き出る世の中において、私たちはチャッピーにどうしてもしがみついてしまう」と言うのだ。

こうして、現代の若者は、自分の感情で選ぶより、「最適化されたお勧め(正解)」への欲求が強いため、「報われ消費」はアルゴリズムでお勧めされやすくなっている。現代の若者の変化を浮き彫りする。

これら分析を経て著者はあえて言う。「考察から批評へ」「アルゴリズムに評価されない、数値に変換されない、そういう自分の欲望や解釈や好きなものこそ、自分自身の固有性であり、面白いのだ」「よくわからないけど感動する、心に響く、面白いと思う、すぐにうまくいかない、報われないけど、それでもやりたいかもしれない――。そういう欲望を持ったとき、人生はきっと楽しくなる」「報われ最適化に抗い、抜け出そう」――。そして読書などいくつかの具体例を提唱している。 

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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