1777602304198.jpg「<わたしの人生>を遊びなおすために」が副題。「あらゆるところで『物語』がもてはやされている」「清涼飲料水のCMを眺めていると、『青春』のイメージ――光る汗、友情、焦燥感、夏――がドラマティックで感動的な話として語られるし、就職活動の面接ではガクチカや挫折体験が語られることを要求される」「『推し』は、ファンの期待した筋書き通りに振る舞う」――何かがおかしい。「人生を解釈しすぎる」し、「考察する若者たち」「解釈したい。正解を求めたい。タイパ・コスパ、倍速で観る若者たち」が増えている。情報氾濫の喧騒の社会はSNSで急加速している。「人生はかくあるべきだ」という押し付けに抗う「次世代の哲学」を溢れるような思考実験で吐露する。

「人生は物語ではない」。もっと定型の軛を脱して自由自在に生きること、そのためには、どんな思考実験ができるか。「人は物語が好きだ。他人を理解することで気持ちが良くなり、決めつけ間違う」「誤解を生んでしまう『自分語り』」「私たちは、自己語りや他人語りにおいて、物語から離れて、不可解なまま存在する相手を尊重する新しい倫理的態度を作り出さなければならない」「感情的だという批判をする人こそ、実は感情的」・・・・・・。要は、物語は自己理解や世界理解のヒントになり、楽しませてくれるが、「物語に呑み込まれないように」と指摘。「その一方で、私たちの周囲では、無数の開かれていない世界の扉が待っている」と言っている。

そこで、本書は「物語的主体のオルタナティブ」を探る。物語以外にも様々な理解の可能性、「物語から遊びへ」だ。その指摘する遊びは「ゲーム」「パズル」「ギャンブル」「おもちゃ」の4つで、遊びから人類を考える。「様々な遊びの『世界』を旅して回ってくれたらこれ以上の喜びはない」と結んでいる。

「ゲーム」――。ニーチェは「抵抗を克服する活動を愛するような、力への意志を発揮することそのものに幸福を見出すゲーム」を勧めた。「我々は常にプレイヤーでありながら、同時にデザイナーでもある。人生と社会を編み直しリデザインする、抵抗のための重要なメタファーとなるのだ」と言う。

「パズル」――。人間には、生まれつき謎き明かしたい、複雑な問題に取り組みたいという欲求(パズル本能)がある。解き明かした「ハッとする」瞬間の快感。「パズル的理解は『正解がただ1つある』という前提を維持することで、情報の中で溺れることをも楽しむ、じりじりとした探索感と『思いつき』のカタルシスを生み出す」と言う。「考察や陰謀論」――人間は、どうしてもスッキリしたい生き物なので、陰謀論にはまる。だが「わからなさを積極的に味わう能力、じりじりを美的経験として味わう能力を育て得るところに、物語的な世界理解のオルタナティブがある」と指摘している。

「ギャンブル」――。真のギャンブラーが欲しいのは「お金」ではない。リスクに身を投げ入れるスリル、退屈からの離脱、人生の切断、「貨幣の崇高」の解体である。

「おもちゃ」――。最もプリミティブな遊び、何かをただ「おもちゃ化」して楽しむ姿勢がおもちゃ遊び。残酷とも言えるし、創造的とも言える「おもちゃ的生き方」の可能性。「おもちゃ遊び」と「世界の旅」はよく似ている。どちらも偶然を受け入れ、愛し、自分がおもちゃになることを楽しみ、軽やかであると言い、「『大人』こそ、遊び心に満ちた『世界』を旅することを試みなければならない」と言う。

「人生を自在に生きる」ことを思考した若き美学者のチャレンジングな哲学的論考。頭が振り回された。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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