「大地の咆哮」.jpg訪中した時だけでなく、杉本さんにはお世話になった。元上海総領事で、館員の自殺もその時のことだ。自身の病も最後にふれているだけだし、館員の自殺についても語っていない。今年8月3日に亡くなられ、それだけに懸命に書き残した遺書といえる。
ODAや、過酷な身分制度で苦しむ農民の現状や、めまぐるしく変貌・発展する中国の変化と不安定さを現場の仕事のなかから描いている。

靖国問題で硬直した日中関係の打開について、私は、文化をはじめとする「違い」の認識をより深い次元からしていかないといけないと常に思っている。


060818「地球の暮らし方」.jpg地球規模の環境問題の深刻化は、本書の29日目の恐怖(湖面の水蓮が1日で1枚から2枚、2日目に2枚から4枚・・・29日目に湖水の半分となった時、翌日、全部埋まることが想像しがたい)にあるように「ゆでがえる」の話のように、なかなか実感がともなわないものだが、今、私たちの回りで「どうもおかしい」と思うことが幾つか出てきている。
異常気象、鉱物資源の枯渇、砂漠化の進行・・・。

文明の流れをどう身近なところから変えていけるか、難問がいよいよ人類に突きつけられている。ぜいたくな先進諸国、限られた水球に無理やり詰めこんだような65億人。月尾さんは5Rをはじめとして、人類の英知の結集を、そして、米中をも入れた京都議定書の今後の枠組みを強く求めている。
情報通信、科学、こうした環境問題、そして、首都機能など、とにかく幅広く先端の世界を専門的にみる月尾さんの最もわかりやすい語りの本だ。


アメリカに代表される市場重視型の福祉レジームも、北欧諸国の社民主義型の福祉レジームも、そして日本が従来とってきた家族依存型の福祉レジームも、いずれも危機に直面している。日本の場合は限界という言葉が適切かもしれない。頑張れる限界ということだ。まさに、ライフ・ワークバランス、仕事と出産・育児の両立、夫婦と企業も含めての働き方の再検討という課題を克服し、少子高齢社会に対応するということは、今までの日本社会のあり方の劇的な転換なくして乗り切れない。

今までの高齢者支援の福祉政策ではなく、働く女性への育児支援、子供の保育や若者の職業教育に、振り向けるためには、彌縫策(びほうさく)ではなく、土台から作り直さなければならない。これは長期にわたる戦いだ。
わが党の「少子社会トータルプラン」の実現を急がねばならない。


「美しい国へ」.jpg政治家の著作は、過去の政治的事実を振り返るもの、めざす政策の提言、あるいは自分史など、いろいろある。野中さんや小沢さんをはじめ読ませていただいているが、安倍さんは自ら「わたしの生まれたこの国に対してどんな感情を抱いていたか、そして・・・・・・」「正直につづったものだ」と述べている。
保守本流たらんとしての志と、現在わが国が直面している課題についての率直な感情が伝わってくる。 


060728「日本経済改造論」.gif「デフレ不況説のまやかし」「郵政民営化はアナクロニズム」「高齢化社会は豊かな社会」をはじめとして、構造改革の議論の前提となっていること自体に疑問を提示している。
日本企業の収益率が低いということの問題、直接金融の育成が大事であり、銀行が統合して何か解決したと思ったら大間違いであること、日本に革新的企業が生まれるよう構造変化に対応した手を打つべきこと、

ITを駆使した21世紀型グローバリゼーションの現実をもっと直視して対応すべきこと、日本の高物価の体質を変えるよう何に手を打つべきか。過剰サービスをやめて安いものを、保護的規制を払い農業・サービス業などの低生産性を克服すべきこと、そして年金や税制のスタート時からかかえた矛盾が時代の大変化のなかで噴き出し、抜本的改革が求められていることなどが、示される。
1940年体制ということを指摘した野口さんだが、1つ1つ根源から考えることを学ぶ。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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