地球規模の環境問題の深刻化は、本書の29日目の恐怖(湖面の水蓮が1日で1枚から2枚、2日目に2枚から4枚・・・29日目に湖水の半分となった時、翌日、全部埋まることが想像しがたい)にあるように「ゆでがえる」の話のように、なかなか実感がともなわないものだが、今、私たちの回りで「どうもおかしい」と思うことが幾つか出てきている。
異常気象、鉱物資源の枯渇、砂漠化の進行・・・。
文明の流れをどう身近なところから変えていけるか、難問がいよいよ人類に突きつけられている。ぜいたくな先進諸国、限られた水球に無理やり詰めこんだような65億人。月尾さんは5Rをはじめとして、人類の英知の結集を、そして、米中をも入れた京都議定書の今後の枠組みを強く求めている。
情報通信、科学、こうした環境問題、そして、首都機能など、とにかく幅広く先端の世界を専門的にみる月尾さんの最もわかりやすい語りの本だ。
アメリカに代表される市場重視型の福祉レジームも、北欧諸国の社民主義型の福祉レジームも、そして日本が従来とってきた家族依存型の福祉レジームも、いずれも危機に直面している。日本の場合は限界という言葉が適切かもしれない。頑張れる限界ということだ。まさに、ライフ・ワークバランス、仕事と出産・育児の両立、夫婦と企業も含めての働き方の再検討という課題を克服し、少子高齢社会に対応するということは、今までの日本社会のあり方の劇的な転換なくして乗り切れない。
今までの高齢者支援の福祉政策ではなく、働く女性への育児支援、子供の保育や若者の職業教育に、振り向けるためには、彌縫策(びほうさく)ではなく、土台から作り直さなければならない。これは長期にわたる戦いだ。
わが党の「少子社会トータルプラン」の実現を急がねばならない。