63歳・東京外語大3年 老学生の日記.jpg団塊の世代が定年を迎える。働く使命感から解放され(当然、働かなければならない人は多いが・・・・・・)、時間も健康もある。しかし、坂本さんのいうように「家にいないで! 濡れ落ち葉はお断り!」と妻には言われる。自由な時間との格闘が始まる。
東京外大に社会人入学し、その後、正規学生2年生として編入。れっきとした63歳東京外大3年生の坂本さんの文章のうまさには舌をまくが、「文は人なり」で人柄がにじみ出てくる。

こういう生き方もできるかなあ、とか、参考にして他のことでもやってみようと気力が湧き出してくる。しかもリキミのない本だ。面白い。酒脱。堅実。


061207若者はなぜ3年で辞めるのか?.jpg「年功序列が奪う日本の未来」という副題がついている。3年で3割辞めるという新卒離職率、心の病をかかえる30代社員の急増、そしてニート、フリーター、非正規と正規社員。その正規社員の若者も恵まれてはいない。若い時の苦労は報われないし、ポストはこないし、給料もふえない。
無意識のうちに、昭和的価値観の「年功序列」のレールが今の日本にはある。しかし、現実にはそれが崩れている。この10年は急速だ。戻せるのか――そうではない。

年功序列は、組織が常に一定の成長をし、ポストがふえ、定期昇給が全ての人にあるようでなければ成り立たない。団塊の世代はそのなかで生き、勤続年数と基本給で決まる退職金も年金も多いからいいが、今の若者は下働きでキャリアも積めない。そして途中下車をする。

最近やっと成果主義がとられても従来の年功序列制度のレールの上に加えられた程度だ。年より功に少し重きが置かれるにすぎない。
大事なのは、レールに乗り続けても希望はない。レールに乗るだけで、何をやるかを志向しない日本人の意識革命、企業の側も成果主義を実現するには単線のサラリーマンでなく、キャリアの複線化を図ることだ。するとそこには当然、社内競争が始まり、今までの「何でもやります」とこなすだけの人間では人材とみなされなくなる。30代の心の病はそうした競争・不安・落胆、レールから放り出されることより生ずる。年長者ほど有利、派遣社員ほど便利、1999年の労働者派遣法の影響も出ている。新規採用の削減はおかしいと著者はいう。

若者を犠牲にするな。年功序列が若者の昇給を押え非正規社員をふやして使い捨てにしている。本書は若者の自立と自由な挑戦に頑張れコールを送っている。


061130会社は誰のために.jpg「会社は誰のものか」という人がいるが、「誰のためにあるのか」だ。
株主のため、従業員のため、お客様のため、社会のため、国家のためで、金儲けのためなら会社をおもちゃのように売買したり、自由にしていいというのではない。国際競争力維持のために、この国は「人と技術」しかないのだから、科学・工学技術者の育成や、技術開発の基盤となる中小企業育成に十分な策を講ずべきだという。

「中間層に厚みを増す社会」という私の主張は、そうした面でも大切ということだ。改革力をつけるためには膿を全部吐きだし、身を切れ、とも。国際社会で勝つためには、借金経営の経営基盤の脆弱さを脱せよともいう。

経営者の感覚から「部分最適より全体最適を重視せよ」「日本人は手段を目的化する傾向があるから、仕事に命を賭けるな」「終身雇用、年功序列、成果主義への視点」「要は人づくりにある」「セーフティネットを設けた上での競争社会を」など、自らの苦闘のなかで培った哲学が示されている。


061124狼花 新宿鮫Ⅸ.jpg「無間人形」から12年もたっている。久し振り(5年半)の新宿鮫の登場だ。外国人犯罪の急増と暴力団組織と警察。盗品市場、そのなかでの麻薬――鮫島はこれまでよりもハードさが薄れているような気がするが、小説にも年齢があるのだろう。
それだけに、「仙田、深見、間野」の存在感と、中国人女性「明蘭、明子」の強いはずの男に困惑を与えるほどの強い芯が際立つ。


061116世界の日本人 ジョーク集.jpgこの種の本はあまり読まないが、率直にいって大変面白かった。「日本人とは何か」が、「日本人は世界の人々からどう観られているか」によって描かれている。

「最先端技術をもった優秀で正確、真面目、勤勉な日本人」「裕福な日本」「集団行動をし、ユーモアのない笑わない日本人」などが、次々に描かれる。

ジョークよりも、リキミのない解説がいい。

<<前の5件

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

太田あきひろホームページへ

カテゴリ一覧

最新記事一覧

私の読書録アーカイブ

上へ