ラテンアメリカ独立の父。ベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビアをスペインの支配から解放した軍人、政治家、思想家、革命家だ。
キューバ独立の使徒・ホセ・マルティの師でもあったボリーバル(1783から1830)の47年の短い生涯はしかし、波乱万丈。戦いに次ぐ戦いであったが、私欲を全く捨て去り走り抜いた生涯は美しいほどだ。皇帝に登りつめたナポレオンに彼は失望と幻滅と怒りをもっていたが、それ自体が揺るがぬボリーバルの姿勢を示している。
アンデスを越え大コロンビア共和国を築いた彼がアンゴストゥーラ憲法では、立法権、行政権、司法権に加え、「道徳権」(教育権)を設置した。日本としては珍しいボリーバル本だが、とにかく闘い、闘い、また闘いで、息苦しくなるほどだ。
安倍首相のよくいうイノベーション。「技術革新」と訳されるがそれでは狭義すぎる。もともと「新しくする」という意味だ。
社会全体に変化を起こすことがイノベーションであり、国や分野を越えて技術などの相乗効果が生まれ、予測不可能な時代に突入している。だからこそ、政府は「人材育成」「投資戦略」「インフラ」を促進させるという変化の環境整備に力を注ぐべきだという。予測不能なイノベーションに対応できる形に「国全体を革新する」ということだ。
坂村さんの「ユビキタスコンピューティング(ユビキタスとはどこにでもあるという意味)」のような社会のあり方を大きく、質的にも変えるインフラ整備は私の東京北区の荒川土手で、目の見えない人の散策の試みとしても始まっている。ものの考え方から法律の作り方まで変える。坂村さんの意欲と行動に触発される。
久し振りに算数に出会った。「数学とは何の為に勉強するんだろう」と、思っていた時期があったが、論理思考を育てることにあることが、いつの頃からか感じられるようになった。湯川秀樹さんは「代数が好き」といったようだが、正直いって私は面白くてたまらなかったのが、算数と幾何学だった。興奮するほどだった。小学生の頃、「算数自由自在」を買って、鶴亀算、流水算、植木算、旅人算・・・・・・。とにかく楽しかった。代数は何でも簡単に解けてしまう。
筋道を立てて考える「クセ」を身につける。整理して戦略を立てる、解決の糸口を見出す、算数・数学。本書にある(1)読解力・分析力(2)内容を理解する翻訳力(3)目標設定力(4)遂行力――は社会に対して、人生において、とても貴重なものだと思う。
「あるある大辞典」の納豆ダイエット捏造問題はいい機会だ。センセーショナリズム、記者の思い込み、不勉強や勘違い、利用する企業・団体。まさに科学報道のはらむ危険な構造。
極端に白・黒2分法では判別できないのが現実の世界であり、科学の世界だ。メディアの世界では、どうしても単純で、白黒で分け、分かりやすい、面白いものに飛びつきがちだ。誤った情報に騙されることも起きる。
それにしても「白インゲン豆ダイエット」「寒天ダイエット」「中国産野菜報道」「DDT報道」「環境ホルモン」「無添加食品が無添加でない食品より健康にいい」「合成発色剤は発がん物質」「昔はよかったの過ち」「マイナスイオンの大流行」「遺伝子組み換え食品」「バイオ燃料」――科学の正視眼からみると、これらはいったい何であったのか。またその話題はどこへ行ったのだろう。本書はそれを示し、副題の「あやしい健康情報とニセ科学」がよくわかる。