凄まじいミステリー×人間ドラマ。いくつかの関係のないと思われる事件、人間関係が複雑に絡み合い思ってもみない衝撃的な結末へと流れ込む。事件を追う刑事の捜査係長・日野、コンビを組む女性・入江、課長・羽幌。有力な手がかりを得たと思えば新たな別の展開が増幅、また新たな推理を呼ぶ。それに警察署間の縄張りや部署の摩擦が加わる。この複雑極まりない重厚かつ立体的な事件と、刑事の葛藤と純粋な子供への愛情のコントラストが、怒涛の奔流となって結末に至る。「このミステリーがすごい!2026年版」第1位の大変な熱量の力作。
J県の県北に位置する媛上市の山奥で、顔を潰され歯を抜かれ、両手首から先が切断された死体が発見された。殺害現場はここ以外の場所で、運ばれ投げ捨てられたらしい。翌日、同じ県北の駒根市のアパートで、オーナーの白川清が殺害される。そして、山奥に投げ捨てられたのは、このアパートの部屋に住んでいた八木辰夫であることが判明する。同じ部屋での連続殺人。しかも遺体の第一発見者は、階段を転げ落ち意識を失っていた出所者支援NPOの代表・幸田みつ子という女性。捜査すると、八木は悪徳探偵で年初めまで服役、出所後は幸田みつ子のNPOを頼ろうとしていたところだった。
事件報道後、生活安全課に一人の小学生・小沼隼斗が訪ねてきて、「死体は自分のお父さんかもしれない」と言う。彼の父親・憲は十年前に行方不明となり、失踪宣告を受けていた。小沼憲には借金があり、会社からの横領・着服があった。警察は、捨てられた八木の遺体とは血液型が違うと言うが・・・・・・。
さらに、その同じ時に、全く別の殺人事件が起きる。「妻を刺した疑いで夫を逮捕----B県警南武署は28日夜、南武市棚井町に住む辻晴一容疑者39歳を、妻の加奈さん37歳を傷害容疑で・・・・・・」の記事が出る。加奈は死ぬ。ところが小沼憲と辻加奈は同じ職場の同僚で、横領に関係していたと見られ、10年前に小沼が行方不明になった翌月、退社していたことが判明する。
これらの事件が重層的に絡み合い、驚くべき結末になだれ込むことに・・・・・・。
事件と関係ないようなエピソードが散りばめられ、浮気、悪徳探偵による脅し、親子の情愛と秘密が絡み合う。捜査は振り回され二転三転。緊迫感が溢れる怒涛の力作だ。
