1774314949045.jpgパンチラインとは名台詞。ドラマや映画、漫画などにはすぐ思い出せる心に残る名台詞がある。それを言語学者の著者が、名台詞の名台詞たる所以を言語学の観点から解説する。帯には「エンタメ8割、言語学2割。かなり笑えて、たまに勉強になります」とさりげなく書かれている。なるほど、印象に残っているというのは、考え抜かれているんだなぁ、セリフの構造にしても助詞ひとつにしても作者のセンスで選び抜いているんだなぁ、と感じる珍しい角度の本。

ドラマや映画、漫画は論文ではない。生きた会話の言葉であり、そこで使われる日本語は主語もなければ目的語もないことが多い。話し言葉の裏には含みがあり、共通した背景がある。演説でも、短い言葉、断定的に言えば力があるし、リズムの重要性もあるし、間合い、センテンスの並びで通じ方は全く変わる。

「タッチ」の中から「めざせカッちゃん甲子園」が取り上げられる。「気づくのは妙な語呂の良さである。これ全体で七五調になっている。・・・・・・4拍子のリズムで読むことができる」と言う。

「機動戦士ガンダム」では、「『圧倒的じゃないか、我が軍は』など、倒置法がよく使用されている。倒置法を演劇やドラマで使うと、観る人の注意を惹きつけることができ、流れにメリハリが出る」と言う。さらに「偉い人には、それがわからんのですよ」の終助詞「よ」の使い方。「『よ』という終助詞をつけるかつけないかで、セリフの印象を大きく変わる。『ガンダム』に名言が多いのも、こういったこだわりの賜なのかもしれない」と言う。

「不適切にもほどがある!」では、時代のギャップ。「『よろしいですか?』を『よろしかったですか?』と言うようになったのは、90年代の後半ごろなので、市郎が違和感を抱くのは当然だ」や「やっ・・・・・・てますね」の面白さを解説する。

「地面師たち」でリーダーのハリソン山中(豊川悦司)の言う「最もフィジカルで最もプリミティブで、そして最もフェティッシュなやり方でいかせていただきます」の「フ」「プ」の子音部分の両口を使っての「両唇音」に注目する。なるほど知的で美しいパンチラインだ。

「極楽女王」のダンプが「いちいちうるせえんだよ」「しょうもねぇヤツがよ!」「今行くからよ」と言い、長与と飛鳥が「早くこっち来いよ!」。ここでも「よ」の効果が語られる。普通気づかないが、なるほどだ。

「ミステリと言う勿れ」では、「『こ そ あ ど』にウソがけっこう出るんですよ」を扱う。容疑者が「そこ」と言うか「あそこ」と言うか。「そんなやつ知らねーよ!」と答えるか、「あんなやつ知らねーよ!」というかで犯人がわかる。これまた確かにだ。

こんな具合に、次々にあぶり出されるセリフ分析。なるほどの連続。漫画のパンチ力の強さ、脚本の緻密さ。プロの鮮やかさを際立たせており、極めて面白い。 

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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