江戸で手習い所を手伝っているふゆ。ふゆは利発だが、疱瘡のあばたが全身に残り引け目を感じていた。そんなふゆに手習い師匠の重右衛門は目をかけた。「ふゆには、賢さだけでなく、素直さと思慮深さの両方がつながっている」「顔は猛烈、頭は抜群」と、すべての掛かりを免除、大事にした。その養子に入った宗三郎に恋心を覚えるが、花嫁となったのは老舗の箱入り娘・ほのだった。それどころか宗三郎は、ふゆを手籠めにした。「そもそも賢さなんぞ女の強みにならないし。うん、どっちにしたってお前は圏外。分かるかえ。おまえは一生、外側にいるしかないんだ。私らの側には入れない」「け、ん、ぐゎ、い」・・・・・・。宗三郎からの強淫が続き、妊娠してしまう。
「堕ろせ」と宗三郎。家を追い出されるふゆ。「圏外」と蔑まれながら、ふゆは心の中の美しい珠の存在を信じている。そして、根岸にいる現人神のように敬われる女医者・おこまのもとに身を寄せる。そして10年、産医の修業をし、おこまさまの後を継ぐことになる。自らのあばた、妊娠や出産をめぐる理不尽をあまりにもたくさん受けてきたふゆは決意する。「いかなる理由や働きかけや脅しがあろうと、女は、産まされてはならぬのである。それと同じく、いかなる理由や働きかけや脅しがあろうと、産めないことがあってはならぬのである」「わしはその扶けをするのだと、それがわしの一生涯の仕事だと、いっそ運命だと、そのように、わしは思うた」とのおこまさまの言葉が胸に響く。何をやっても、「ぶつぶつのせいである」と引け目をもち拡張してきたふゆだったが、「ようやく、違う」と気づく。「強いていうなら、神様が決めたんだろう」・・・・・・。そして女たちを助ける「ガイトホイス」、ふゆを恃みとする者らが寄り添う夢の国を作ってしまうのだ。
「けんぐゎい、くゎいぶつ」・・・・・・。「私の持って生まれた味とはなんだ」「外側だの、世間並みだの」「人生の当たり籤、外れ籤」――そんな雑頭の中でふゆは自分を生きていく。周りの女性それぞれの生き方を内面から濃密に描いた作品。
