「サボテンの花」――。6年1組の思いもかけない卒業研究。「教頭先生、僕たち、どうしてもやりたいんです。だって、サボテンには、本当に超能力があるんです」。サボテンの超能力研究だ。リーダー格の稲川信一が、「僕たちみんなサボテンです。誰にも剪定されないから」と言う。卒業研究発表会で、「この植物が透視力とテレパシーをもっていることを発見した」と皆の前でやってみせる。生徒が定年退職となった教頭に送ったサボテンによる粋なプレゼント・・・・・・。
「うそつき喇叭」――。古書店で、万引をしてつかまった十歳の少年が発する懸命SOS ・・・・・・。それを書店の老店主がキャッチし、ある罠をかける。「すぐ近くに、あの子をあんなふうに虐待している『うそつき喇叭』がいる。あの子は、それを告発したかったのだ」・・・・・・。
「十年計画」――。「人から聞いた話である」から始まる聞いた話。40代半ばの女性がタクシー運転手の女性から車内で聞いた身の上話。社内恋愛をして手酷い捨てられ方をする。「お嬢さん、人をひとり殺してやろうと思って、それで運転免許を取ろうと決めたんです」「10年計画で」・・・・・・。女性の職場も少なく、ましてや、女性のタクシー運転手さんが少なかった時代だった。
「人・で・なし」――。会社の先輩と仕事後、飲み懇談。困り者、マタハリ男、人でなし野郎が会社を辞めてよかったと言う話の後、「実は僕、昔、かなり変な経験をしたことがあるんですよ」と語り始める。中学時代、父母がマイホームを手に入れるが、変なことばかりが起き、家族4人とも体調を崩すことになる。ノイズ、駅の階段で父が転んで救急車で運ばれ、家の前で家族写真を撮っても家自体は写らない、姉の視力が落ちる、家族全員が生命力を吸い取られる・・・・・・。「僕ら、間違ってた。僕らがこの家を人間みたいに扱ったから、この家は人間みたいな振る舞いをするようになっちゃったんだ」・・・・・・。そして引っ越しをする。その後、予備校生となった「僕」は、その家に寄ったところ、意識を失い、悲惨な事件が・・・・・・。
この世には、わけのわからない不思議な出来事がある。人の心の内もわからない。それらが見事に描かれる。
