1790514430189.jpg著者自身が鬼平ベスト5に選んだという「山吹屋お勝」の他、「深川・千鳥橋」「乞食坊主」「女賊」「おしゃべり源八」「兇賊」「鈍牛」の全七篇がある。

「兇賊」――。中村吉右衛門の鬼平テレビドラマで、何度も見た。不思議と巡り会い、、印象深い。「芋酒・加賀や」の亭主・九平(元一人働きの盗賊)を小林稔侍、そこに来る夜鷹のおもんを若村麻由美。3人がたまたま芋酒屋で一緒になり、平蔵は隔たりなく暖かくおもんに接する。店を出て平蔵は賊に襲われる。狙ったのは網切りの甚五郎(大杉漣)一味。親父の恨みを晴らそうと狙い続けていたのだ。平蔵とは知らず、興味を抱いて、後をつける九平。平蔵の役宅の潜門の前で瞬間。「おやじ。ご苦労」・・・・・・。九平はぞっとする。印象に残る名優ぞろい。原作自体、躍動している。

「山吹屋お勝」――。妻を亡くし、隠居の身であった平蔵の従兄・三沢仙右衛門が突如、「嫁をもらいたい」と言い出す。その女は、王子権現の近くにある料理茶屋「山吹屋」の新しく入った女中のお勝。王子権現社、その北にある王子稲荷、音無川、飛鳥山の桜・・・・・・。「あたりは武蔵の国の田園地帯の風趣も濃厚で・・・・・・当時の人々の遊山行楽の最たるもので、王子詣りは四季を通じて人の絶えたことがない・・・・・・」と描かれている。私の地元だ。平蔵はその女に会いに行くのだが・・・・・・。女は今も、「引きこみの役目をしていた・・・・・・。さてなんと、仙右衛門に言えばいいか・・・・・・。

他の短篇もそれぞれ味わい深い、いかにも「鬼平犯科帳」の名篇。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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