大手広告代理店の就職面接で大物議員や財閥の9人の子女が毒物を飲まされ、7人が死亡、2人が重体となった。同時刻、銃を持った男が電力会社に侵入、1人の女性に銃を突き付け、ビル全体を人質に立てこもった。
テレビで犯人を見た相模原市の猪瀬由佳子は、「え、お兄ちゃん⁈」と驚愕。長年ずっと家に引きこもっていたはずの体の大きい兄・順一だ。一方、大学2年生の阿藤翔矢は、「母さん?」と立てこもり犯に羽交い締めにされた女性が映るテレビ画面に瞠目した。そんな所にいるはずもない母。父に連絡するが、留守電のメッセージが流れるだけ。
犯人は叫ぶ。「聞け! 要求はこれだ! おれたちに、人生を返せ! 終身雇用制度を返せ! これほど派遣社員だらけになる前、規制緩和される前の社会を返せ! 新卒じゃなくても、まともな職に就ける世の中にしてみせろ!」・・・・・・。特殊部隊に囲まれるなか、飛びついた警備員とともに、非常階段のフェンスが壊れ落下。2人は死亡、人質の女性は重症で意識不明となる。特捜本部が設置され、「港区七人毒殺・千代田区立てこもり事件特別捜査本部」が立ち上がる。
猪瀬順一のパソコンを押収、鍵アカウントで5人で会話をしていたことが判明する。いずれも昭和47、48年生まれの就職氷河期世代。妹・由佳子は、「兄は"社会を憂う男"になってみたかったんですよ。世間を騒がせて、でかいことをやって、一目置かれたかった」と言い、仲間に乗せられたと言うのだった。捜査本部が、SNSの見元を洗っていくなか、YouTubeをはじめとする無料動画共有サービス4社に、犯行声明動画がアップロードされる。「おれたち氷河期世代の復讐を目の玉かっぱじって見ておけ」・・・・・・。
そうしたなか、翔矢の父・阿藤誠が遺体として発見され、新たに「大手総合商社『加納啓商事』」立てこもり事件が起きる。犯人は、「見てろ! おれたち氷河期世代が、ついに反乱のターンに入ったぞ!」と野次馬に向かって叫んだと言う。銃で3人が死亡、2人が重傷、犯人は自分のこめかみを銃で撃ち抜く最悪の結果となった。
ネットの調査が進み、氷河期世代の絶望と恨みが明らかになっていくが・・・・・・。
不遇を囲ってきた世代の怒りや悲しみ、怨念とともに、ネット社会の匿名性と隠れた連携の怖さがストレートにに描かれる。
