世界を常識を超えた振幅で描き、読者を異次元の世界に放り込む綾辻行人。人間の心の中には、そうした狂気や闇があるからこそだと思うが、どす黒さの中にちょっとユーモアやペーソスをが挟み込まれるのも魅力。著者が選んだ4小編のミステリー&ホラー傑作選。
「心の闇----。エコー検査をすると画像にかなり広範囲にガス星雲のような真っ黒な影が広がっている。医者は「私」に「これは<心の闇>です」と手術で取り除くと言う。手術をして・・・・・・。最後、思いもよらぬ「私」の行動はどんでん返しの衝撃的。
「悪魔の手----313号室の患者」----。とある総合病院の精神科病棟。313号室に入院中の母を見舞う三浪中の男。突然めまいがして、幻覚に襲われる。「母が発狂し父親を刺殺。自分にも襲いかかり鋭い刃を僕の足に突き立てた。何度も何度も、何度も・・・・・・」。母に会い、「青いビロード張りの小箱」を母の持っていた鍵で開けると、ノートが1冊出てきた。「ぼくの名まえはかんざきただしです」に始まる日記が出てきて、「へんなゆめをまた見ました」「だれかがぼくの首をしめている」・・・・・・。「忠と涼は畸型の双子だったの・・・・・・」という驚愕の事実を知ることに・・・・・・。次々に起こる恐ろしい出来事。そして、最後の1行でどんでん返しのどんでん返し。313号室には誰がいる?
「どんどん橋、落ちた」----。「誰が犯人か」の読者への挑戦が挿入された"犯人当て小説"。山の中に深い谷があり、老朽化した長い吊り橋「どんどん橋」がかかっている。その近くでキャンプに来た5人。小学6年生のいたずら好きな子供が危険な橋を渡ったところで橋が落ち、孤立。やがて死体として発見される。村に住むものか、残る4人の中に犯人が・・・・・・。結末は意外や意外。
「再生」----。これぞホラー小説。人里離れた山中の別荘。「私の眼前には今、妻、由伊の身体がある。今ここにいる彼女の身体には顔がない、頭がない」「私は待っているのだった。ひたすら待ち続けているのだった。彼女のその身体から、新しい首が生えてくるのを」・・・・・・。大学の助教授とその女子大生であった彼女が結婚する。彼女は、失った指や腕や足が゛生えてくる"という身体だった。これも結末は恐るべきことに・・・・・・。
怪異、奇談、謎解き、自由自在のミステリ&ホラーの世界が起動する。
