1791933902766.jpg確かに間違いなく、「知って得する」だ。時間生物学が積み上げてきた重要な知見を示す。「時間生物学の魅力は、生命を時間の流れの中で捉え直す視点」「生物は環境にただ反応するだけの存在ではない。明日を予測し、先回りして準備する。そのために、生き物は時計を内側に持つようになった。体内時計とは、賢さの象徴というより生き延びるための段取り装置なのだ」「リズムが整うだけで、人は驚くほど楽に生きられる」「大切なのは『正しい生活』を目指すことよりも自分の体内時計の性質を知ること」と言う。

「地球という常に周期的に変動する環境で生き残るために、生命が獲得してきた根源的な仕組み、それが『体内時計』だ」――。夜遅く強い光を浴びると、私たちの体内時計は「まだ昼だ」と勘違いする。「夜は休息と蓄積の時間帯だから、遅い夕食はため込みやすい。肥満となる」「野良猫も朝、時間通りに餌の前に現れる」「リンネの花時計――花が咲く時刻、閉じる時刻が、種ごとに驚くほど一定している。庭そのものが時計となる」・・・・・・。さらに面白いのは、「13年・ 17年ゼミ――素数の年に、セミが一斉に大量発生する」という周期ゼミ現象があるそうだ。

その概日リズムを生み出すのは、「脳にある(脳の視床下部にある『視交叉上核』)」。生物の体内時計は、ゼロからリズムを発明したのではなく、「自然界に普遍的に存在する『リズムを生み出す性質』を巧みに取り組み、洗練させてきた存在といえる」と言う。さらに面白いのは、時計は脳だけにあるのではなく、「時計遺伝子は肝臓、心臓、腎臓、腸管、筋肉、脂肪組織などほぼ全身の細胞に存在している(抹消時計)」と言うのだ。

脳の中枢時計は、網膜から直接光情報を得てリズムを調整。末梢時計は光の影響をほとんど受けず、それぞれの臓器で、それぞれが食事、運動、ホルモン、ストレスといった情報によってリズムを変化させると言う。実に面白いし、「知って得する」話だ。体内時計は、「視交叉上核を頂点とし、末梢時計がその指示を受けながら働く階層的な多振動体システムとして成り立っている」と言う。脳の中枢時計の指揮者が乱れれば、末梢時計の演奏者が崩れ、オーケストラはめちゃくちゃになる。老化は脳の司令塔のズレだと言う。中枢時計を整える最も重要なスイッチは「光」ということだ。ハムスターは、夜になると、餌を探して長い距離を走り移動する動物だから、夜になると「輪回しをカラカラ走り続ける」らしい。なるほど。

「時差ぼけ」は体内時計のズレ。面白いのは、体内時計は『遅らせる』のは得意だが『進める』のは苦手だと言う。だから「夜更かし」は簡単だが、「早起き」は難しい。インドやヨーロッパの方に旅をするのは案外楽だが、ハワイへ行くのは体にとって厳しい。末梢時計の臓器までおかしくなるわけだ。「時差ボケ」は、海外に行かなくても、土日に「寝だめ」などをすると逆効果で月曜日が辛かったり不登校の一因となったりする。社会的時差ぼけ、体内時計の乱れだ。夜勤、交替制勤務もそこが辛い。そこで「光で『時刻のズレ』を整える」ことが大事だと言う。

「不規則な生活が病を招く」とは、ヒポクラテスの言葉だ。睡眠障害、高血圧(血圧を下げる時間とあげる時間の切り替えに失敗した状態)、糖尿病、生活習慣病はリズムの乱れだ。睡眠負債――睡眠は、まとめて返済できる借金ではない。健康全体に影響する問題で、「平日の睡眠をどう守るか、そして体内時計をどう整えるかが大切」と指摘する。ガードナー少年の約11日間、264時間の断眠記録があると言うが、ギネスも記録は取らないようにしたと言う。危ない。「ヒトは眠らずにはいられないようにできている」と言う。「クロノタイプ(朝型・夜型)を活用する」「サマータイムは、体内時計が遅らせるよりも早める方が苦手ということから、健康被害がある。特に夜型傾向の人」と言う。

「朝ご飯が体内時計に良いメカニズム」「最も体内時計を動かすのは『夜の青い光』」と言う。ブルーライトの光害だ。「時差ボケのような状況に置かれても『毎日同じ時刻に食べる』ことが体を守る力になる。食事の時間だけでも一定にすると、体内時計の混乱を最小限に抑えられる可能性がある」「日光を味方につける戦略。朝起きたらカーテンを受ける、できるだけ午前中に外に出る」を推奨する。

まさに時間生物学からの「知って得する、体内時計のはなし」だ。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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