「200兆円規模『外為特会』が生まれた謎」が副題。「円安是正へ為替介入」「防衛費増、食品の消費税1%などの財源」というと、最近すぐ出てくるのが外為特会。いったい外為特会とは何か。かつては財源として「困ったときのたばこ税」などと言われたことがあったが、安易な「困ったときの外為特会」論議であってはならないことが本書を読めばよくわかる。為替のメカニズムや介入実施の過程、政策としての歴史等、200兆円規模になっている外為特会の仕組みを実務経験豊富な経済学者が明らかにする。
財務省は、「1990年代と2000年代に巨額な円売り・ドル買いを繰り返し、円建て負債と同時に、外貨建ての資産を急速に増加させてきた。その資産は外為特会と呼ばれる財布で管理しており、その残高は200兆円程度となっている」、そして「外為特会は安全性及び流動性に最大限留意した運用を行い、この制約の範囲内で可能な限り収益性を追求する」「金融・為替市場へ攪乱的な影響を及ぼさぬよう、最大限配慮しつつ・・・・・・」と基本原則が定められている。そして「単独介入と協調介入」「口先介入」「覆面介入と為替介入の開示」など為替介入の実態が詳細に示される。さらに「2025年時点で、その資産残高が200兆円規模、そこから生まれる利益(剰余金)は5兆円弱と巨額」「負債サイドが円であり、資産サイドがドルである(BS)」「現在、外為特会の含み益が約50兆円、バッファーである資産・負債差額は80兆円」「外為特会が得られる利益(剰余金)の7割を一般会計に繰り入れるルールになっている(2010年以降、約2兆円規模)(当然、日米金利差による)(為替介入となることを避けるため、ドル建ての資産を円へ交換することは避けられるので、繰り入れはテクニカルに工夫)」となっている。なお「3割については(FBを発行せず)外国為替資金に入れることで外貨運用をしている」と言う。
「外為特会によるドル貸し出し」――国際協力銀行(JBIC)に対してドル貸し出しを行っている。ODAだ。国際協力機構(J BIC)は、あくまで日本企業が海外で融資や出資する場合のサポート(補完的だから、JB ICには外為特会からドル調達額全体の半分までしか借りられない)。トランプの対米投資80兆円というのは、J B ICを介したスキームだ。
「為替介入と資金調達」――財務省発行の政府短期証券(F B)による。日銀の直接引き受けとなる。「フォワード(為替スワップ)とカバー付き金利平価」「通貨先物と海外の投機筋のポジション」など丁寧に紹介をしている。
外為特会の運用、積極運用と国民への還元などの要請は高まっており、安易に流されないしっかりした議論が必要となっている。前著「はじめての日本国債」に続き、さらに丁寧に現場・現実を踏まえて解説をしてくれている。
