「妻のトリセツ」の第二弾。男性脳と女性脳がテーマだが、「この本は『この人と一生を生きる』と決心した女性のために書いた。・・・・・海に出るなら羅針盤が要る。結婚に乗り出すなら、妻には『夫のトリセツ』、夫には『妻のトリセツ』が要る。私から見ると男女脳のありようを知らずに結婚するなんて、羅針盤なしに素人が深夜に大海に乗り出すようなものだ。命知らず」という。「男女の脳の認識フレームが絶望的にすれ違っている」ことを指摘する。
「長らく狩りをしてきた男性脳は、『遠く』を見て、とっさに問題点を指摘し合い『ゴール』へ急ぐようにチューニングされている。目の前の人の気持ちや体調の変化に鈍感で、優しいことばも言わず、いきなり相手の欠点を衝いてくる」「問題解決を急ぐ、結論を急ぐ男性脳と、経緯を語りたがる、共感してほしい女性脳」「男性脳は定番に忠実、約束を守るのが彼らの愛だ。気を利かせて察して優しくね、というのが難しいのだ」「男性脳はおしゃべりが苦手。男性脳の緊張を解くためには、安寧な沈黙が必要不可欠。おしゃべりにストレスを感じる男性脳だから、べらべらしゃべり続ける女性の好感度は低い」「男性脳はゴールはどこか(どこを狙うか)を常に探っている。結論のわからない話に耐性が低く疲弊する」「"夫は気が利かない"は濡れ衣。妻の所作をうまく認知できていない」・・・・・・。
「男性脳は、身体拡張感覚が強い。車や道具を、自分の身体の一部のように扱う感覚が鮮明。妻や母親を手下のように扱うにはそうしたわけがある。だから褒めないし、お礼も言わないのだ。妻は"なんでもしてあげたい"病に気をつけて」「男性脳には、空間を把握する習性が刷り込まれている。レストランでは女性を壁際に座らせること。男性が壁を背にして座ると店全体を眺めてしまう」・・・・・・。
「私の話を聞いていない」「話が通じない」「気が利かない」「思いやりがない」といわれる訳だが、「私は、男性脳にも大いに同情している」「21世紀、男はつらいよね」という。
推理作家・香月史郎は城塚翡翠という霊媒の若き女性の助けを借り、様々な難事件を解決してきた。香月の大学の後輩・倉持結花が殺害された事件、作家の黒越篤が閉鎖空間で殺害される"水鏡荘の殺人"。そして女子高生連続絞殺事件。翡翠が死者の言葉を伝え、それを香月は論理の力を組み合わせて解決するという訳だ。
そんな時、同一犯と思われる姿なき8件もの連続殺人事件が起きていた。手口も異常だが、何の手がかりも残さない。全員が20代の女性会社員、一人暮らし、失踪届が出されていることを後で知る。犯人は狡猾で、警察の捜査手法にも詳しいようだ。事件は予想外の展開に。「大ドンデン返し」と「緻密な推理」に身体ごと持っていかれる本格ミステリー。
「2020年、大学入試と学習指導要領大改革のゆくえ」が副題。共通一次からセンター試験で40年。昨年末、「大学入学共通テスト(新テスト)」が立ち止まったが、本書発行は昨年4月。2人の対談に、大学入試センターの山本廣基理事長が最後に加わり、苦労と考え方を率直に語る。
「日本が危機的状況から脱するために、偏差値競争から抜け出して、真に知識を得て、活用するような教育を定着させたい(佐藤優)」「小中高校の現場では受験競争が激化し、特に一部の私立中学高校では"受験予備校"化している。これからの日本の教育はどうあるべきか(池上彰)」「40年間の『共通テスト』というのは大事な公共財だと思う。今回の入試改革の議論にはテストの専門家の参加が十分ではなかったという印象がある(山本理事長)」と語る。
「日本の"病"を進行させた教育の歪み(AI時代に必要な能力とは何か。本来教育は、理不尽な格差を生まないような知恵を育むためにある)」「是か非か? 2020年教育改革(連合赤軍が生んだ共通一次。新テストの"プレテスト"は非常によくできている。英語の試験に"話す"能力はいらない)」「アクティブ・ラーニングと『エリート』教育(アクティブ・ラーニングとは主体的・対話的で深い学び)」「テロも教育が生んだ?(高学歴揃いだったオウム真理教幹部。宗教に対する無知の危険。宗教を教えるには宗教が絡んでいるいい小説を何冊か勧める)」「揺らぐ知の基盤・大学をどうする(いい大学に入ったとたんに何をしたらいいか見えなくなる。怠慢を超えた犯罪に近い知の軽視。私大は入試の『作問力』で勝負を始めた)」「大学入試センター理事長が明かす2020年度入試改革の真の狙い(高校・大学・受験産業――現場では3つのベクトルが動き、それぞれ別の角度で考えている。文理融合を本気で考えるべき。記述式の導入はこういう問題に対応できる力を鍛えようという高校生へのメッセージでもある。センター試験の作問には2年近くかかっている。批判の前に問題を見よ。改革に試行錯誤は避けられない)」・・・・・・。昨年の春頃に本格的・最終論議をすべきだったと思っている。
破竹の勢いで勝ち続けるナポレオン。1806年にはプロイセン軍に勝利し、ベルリン勅令(大陸封鎖令)を発布。ロシア軍にも勝利し、ロシア皇帝アレクサンドル一世と意気投合、ティルジット和平条約を締結する(1807年)。スペインの蜂起を押え、1809年にはオーストリア軍に勝利し、翌年にはオーストリア皇女マリー・ルイーズと結婚、念願の皇太子が誕生する。絶頂期を迎えるが、ロシア遠征(1812年)でクトゥーゾフの老練な焦土作戦にはまり、対フランス同盟軍に追いつめられていく。パリでのクーデタ未遂事件にも脅かされる。1813年のドイツ遠征も無理を重ねて勝利するが、プロイセン・ロシア・オーストリアが結束していく。そして1814年、退位に追い込まれ、エルバ島に流される。
ナポレオンの焦りと怒りと絶望は想像を絶する所だが、その心象が吹き上がるように描かれている。とくに、オーストリアとの同盟を軸としてヨーロッパの平和を志向するタレイラン、先鋭的なジャコバン派として王党派を憎み、大陸封鎖令にも帝政にも異論をもちながら変幻自在に生きるフーシェ、フランス革命以来、戦乱に疲れ荒んだヨーロッパで一国のみが巨大となることではなく妥協のなかに平和を模索するオーストリアのメッテルニヒ等々、生存本能ともいえる激烈な闘争や裏切りが活写される。ナポレオンの卓越性が孤立性へと進んでいくのだ。
1815年2月、エルバ島を脱出、パリに入城、3月には復位を果たす。そして、6月のワーテルローの戦いで、イギリス・プロイセンらの同盟軍に敗北。セント・ヘレナ島に送られ、1821年にそこで死去する。「まだ私は終わりではない」「果たすべき、使命がある」と戦い続けたナポレオンは、動くことをやめず、一生を口述筆記させた。セント・ヘレナでナポレオンの秘書を務めたラス・カーズは1823年、綴った自身の日記を回想録として発表した。
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「前進また前進」「電光石火」「人生は間断なき戦闘」――ナポレオンの「疲れ知らずの活力」「総身から発散される気迫」「秀でた才気」「溢れる勇気」「戦局を見る力」が本書から迸る。1769年8月15日、コルシカ島に誕生したナポレオン・ボナパルト、250周年に書かれた力作。
コルシカ島の小貴族・ボナパルト家の次男として誕生。ブリエンヌ陸軍幼年学校、パリ陸軍士官学校に進むが"勉強の虫""数学が得意""憎いが認めざるをえない奴""負けん気の強い奴"として頭角を現わし、砲兵少尉に任官する。バスティーユ要塞陥落、人権宣言、ルイ16世処刑のさなか、ナポレオンはコルシカ義勇兵大隊の中佐として蜂起を鎮圧。パオリ派に追われて1793年、コルシカ島を脱出、イギリス・スペイン連合軍からトゥーロンを奪回する功績を上げ、弱冠24歳で砲兵少将に昇進する。ロベスピエールが失脚、ナポレオンは逮捕され窮地に陥るが、王党派によるヴァンデミエールの蜂起をナポレオンは鎮圧する(95年)。絶体絶命の窮地を乗り越えたのは、意志の力が呼び込んだ"運"なのか。奔放なジョセフィーヌへの愛には"緊張を解きほぐす""好運を呼ぶ"女性との思いがあったようだ。複雑な丸出しの精神構造だ。そしてイタリア遠征――。せっかちな猪突猛進は、無理にも周りを巻き込んでいく。そして軍事的天才、しかも自ら止暇断眠で最前線で指揮をとり、連戦連勝を果たしていく。
イギリス、オーストリアとは強烈な敵対。イタリア遠征で歴史的な勝利を収めたナポレオンは、エジプト遠征を敢行。なんとか勝利するが、ネルソン提督率いるイギリス艦隊に苦しめられ、加えて第二次対フランス大同盟成立で包囲網にあう。1799年11月、ナポレオンはブリュメール18日のクーデターで共和国執政に就任する。1800年、第二次イタリア遠征。ハンニバルのごときアルプス越えだ。内政はゴタゴタ。外務大臣タレイラン、警察大臣フーシェ、総裁のシェイエスやバラス等々やナポレオンの兄弟等々のなか、何が何でも短期で勝たねばならないイタリア遠征であることがよくわかる。民衆の歓呼の声のなかパリに帰るやナポレオン暗殺未遂事件にも遭遇する。王党派、ジャコバン派など社会は騒擾のなかにあった。1804年、ナポレオン法典を発布、帝政を宣言し、皇帝となる。
戦いは続く。ドイツ遠征を敢行し、ウルムの戦いでオーストリア軍に勝利、兄ジョセフをナポリ王に、弟ルイをオランダ王に即位させる。しかし、常に、対フランス大同盟が結成され、ナポレオンは"間断なき戦闘"の渦を起こし、その渦に巻き込まれていく。ナポレオン③は転落篇だ。
