男の死に方.jpg「戦争で生き残ったものの責務」と副題がある。
ほとばしるものがある。兵隊で死ぬ思いをし、戦後の闇市でモノを売って食いつなぎ、米軍の横流し物資で資本金をつくって事業を起こし、ライフコーポレーションを設立。第一線の経営者として大車輪の活躍をされる一方、日韓協力委員会の中心、そして日中にも、日本の流通にも更なる意欲をもつ清水さん。激しく、優しく、そして市場原理主義を叩き、日本の為に働けと呼びかける。

清水さんが先日、「百年に一回の危機などと言っているが、あの戦後の闇市の時からみれば楽なものだ」と私に語っていたが、"底の抜けた"ごとき日本、もっと日本人はしっかりしなければという思いをより深くしている。


アイルランドを知れば日本がわかる.jpg大変面白いし、勉強になった。
面積も人口も北海道とほぼ同じ、貧困国から一気に世界有数の豊かな国へ。
生活の質の高さ、教育、資源小国としての生き抜き方を知ることもさることながら、「カトリック 対 プロテスタント」「小国アイルランド 対 大国イギリス」の激しい闘争が、米国の歴史をも含めて浮き彫りにされているところに真の意味での面白さ(目の前がパッと明るく見え始める)がある。

「風と共に去りぬ」から「名犬リンチンチン」「タイタニック」まで、「清教徒革命クロムウェル」から英愛和解まで、軽いタッチで描くが、内容は重い。


大人の実力.jpg生経験を積み、人は大人になる。しかし、その実力は・・・・・・。
情報のみを受け、受け売りして、自ら物を考えない。
書物も読まず、人生をムダにしている。他者を知り、他人の痛みを知り、考えが異なる他者がこの世にはいることを知ることが、大人ということか。

 


浅田次郎さんの小説はいい。人間の世界、男の世界、男の女の世界を快く描いてくれる。なぜ快いのか。人間に対する暖かさと深さが、じわりと浮かび上がってくるからだと思う。
小説はそれを語りうる。


寒い国から帰ってきたスパイ.jpg若き頃に読んだ名作だが、家の中を捜してもない。
買って読んだが、話の筋も面白いが、東西冷戦で切断されたベルリンの壁の両側で暗躍するスパイの悲劇的運命というしっかりした舞台設定、そして「巨大機構と人間」「個人が組織の一部員となり、思想のために個を犠牲にして顧みない(それ自体が思想だが)機構」をえぐるというしっかりした信念を提示する。


ジョン・ル・カレを世界に登場させた名作だが、諜報戦、情報戦は当然、今もある。


ゆびさきの宇宙.jpg今年5月、全国の自治体で初めて、東京都に盲ろう者のための支援センターが発足した。都議会公明党が福島智さんと会って実現させたものだ。5月末、その支援センターを私は訪れ、福島さんにお会いした。
目が見えず、耳も聞こえない。その無音漆黒の世界にたった一人、地球からひきはがされ、果てしない真空の宇宙に放り出されたような、心の芯が凍りつくような魂の孤独と不安のなかで、福島さんは生き抜いている。「不便なことと不幸は違う。


障がいの有無と幸、不幸とは本来関係ない」「フランクルの愛、かけがえのない愛について」「能力は本質でなく属性だ。否定すべきは、能力の差とその人の存在の価値を連動させることだ」「私たち障がい者がなすべき"最も重要な仕事"は、生きることだ。そしてよりよく生きることだ。そして支え合うことだ」「セーフティ・ネットは安全網ではなく、落下しないようにネットを架け橋として張ることだ」「応益負担は益だから利用料を払えということだ。益を求めているのではない。
人間らしく生きる最低限の支援がほしいだけだ」

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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