20110426-book.JPG  昨年12月発刊の書。河田さんは復興構想会議のメンバー。活躍が更に期待されるが、京大土木の1学年後輩にあたるようだ。東日本大震災に襲われ、首都直下、東海・東南海・南海地震に備えなければならない今、「津波」を余すところなく語る本書は必読。

  50cmの津波でも0.3トン強の力で人は転倒する。発生の規模・場所(波源域)、受ける地域によっても異なるが、津波は何波も続き、反射もあり、6時間 は要注意。今回のように第二波、第三波が大きいとも限らない。固有周期、共振もある。「津波と高潮と高波は違う」「遠地津波と近地津波がある」「水深が浅 くなると津波が大きくなる浅水変形が起きる」「情報があってなぜ避難行動に結びつかないか」「東京に津波が来たら――地震と津波と液状化と石油タンク破損 による火災・有毒ガスと各流入河川での橋脚等落下」「安全優先の津波防災施設・装置のみでなく、活気ある町・企業活動・経済基盤強化への復興計画を」―― 等々。やさしく解説してくれる。
「減災社会を築く」「避難すれば助かる」「それには津波の知識の絶対量を増やす」という河田さんの思いが伝わってくる。


20110420-book.JPG 「どこに何があり、何をしているのか」と副題にある。そして原発ばかりが原子力施設ではない!と指摘し、原発から加工・再処理施設、研究炉に至るまで、全てを網羅。原子力の歴史、全データ、全貌を示してくれている。

  「事故は"わき"で起きる」とし、どうしても設計者や運転者の関心は、炉心等危険度の高い所に注がれがちだが、"傍流"施設や炉心から遠い二次冷却系と か、JOC東海事業所は施設自体が"わき"といえるもので、警告を発している。また「原子力開発や推進の原子力委員会やエネルギー庁と、安全規制の原子力 安全委員会や原子力安全・保安院の緊張感が外部から見てとれない」などと指摘している。また、一般の人々にも課題があるとして、風評被害を例に上げる。 「原子力のごく一般的な基礎知識があれば、風評被害の大半は無くなる」という。2001年9月の発刊で、今回の福島第一原発事故を受けて出されている


20110419-book.JPG東日本大震災における東電福島第一原発事故――。緊急停止時における3つの命綱。それは(1)制御棒(2)緊急炉心冷却装置(3)非常用ディーゼル発電機 だが、(3)が稼動せず、冷却系統が機能しない。この重大な事態は、文明自体を、エネルギー政策全体を、更には科学技術と哲学、人生とは、生老病死とはと いう実存的な問いかけを発している。

著者は、いたずらに恐怖心を抱くのではなく、基本的な知識を身につけ、情報を冷静に判断せよという。きわめてわかりやすく、具体的に語っている。


20110415-book.JPG  事件の影響力が他に比べて格段に大きく、しかも大きさだけでなくその影響力が歴史のなかに影を落としているという事件を七つ。そしてその核となっている人 物。日本にその都度巻き起こる世論の激高。赤穂浪士に象徴される「動機至純論」。生まれる事件は時代とかけ離れたものではなく、しかも事件によってその空 気がふくれあがり、空気を固め、新たな空気をつくり出す。保阪さんは、昭和の七大事件の因と果を端的に示す。見事だ。

事件と人物を並べると「5・ 15事件(橘孝三郎)」「2・26事件(磯部浅一)」「太平洋戦争と"誤謬の東條首相"と閣僚」「占領初期の大事件・日本国憲法制定(天皇の位置づけと9 条における官僚)」「60年安保(樺美智子)」「三島事件」「ロッキード事件(田中角栄)」――いずれも時代を画す影響力を及ぼした事象・人物だ。
  政治経済の閉塞感、日本沈没の不安のなかで起きた今回の東日本大震災。人為の事件ではないが、人々の意識は相当変化している。文明自体に、人の生老病死に、哲学的・宗教的に。


20110412-book.JPG  トルストイに初めて会った日本人。ただ一人、その葬儀にも参加した日本人。トルストイと語らい、中国の老子を共訳し、「老子道徳経」を著した小西増太郎 が、トルストイ没後25周年の追悼として1936年に書き上げたのが「トルストイを語る」だ。この著作を昨年2010年、トルストイ没後百年記念出版とし て再編版したのが本書だ。

  実に面白い。トルストイの貫禄、人格、感情、その息づかいが小西増太郎によって生々しく描かれている。美文家トルストイが、哲学・思想・宗教家として前人未到の境地への進み、妥協を許さず生きていく様が巨大な巌となって迫ってくる。すさまじい緊張感が伝わってくる。
 「近 頃、日本がしきりに欧米文化の粕をあさっているのを知って、あまりいい気持ちがしない。古い古い二千年の歴史ある日本の文明をふり棄てて、欧米の文明をと り入れようとするのは、その取捨によほど注意を要します。・・・・・・」「キリスト以前にキリストなくキリスト以後にキリストはない。他の賢人、賢者の教 えには見ることのできない感化力が強く、実現力に富んでいて、私たちを霊的に更生させる」「孔子は中庸主義の政治哲学者であったから、いつも世と共に上下 されたが、老子は純粋な哲学者であったから、政治なんかは眼中になかった」「老子ともあろうものが、『巳むを得ずして・・・・・・』などとはいう道理がな い。考えられない・・・・・・。そうした手ぬるいことでは、目的は達成できない」・・・・・・・。とにかく本書の行間にもトルストイ思想は息づいている。 家出についても、小西の見解が示される。アレキサンドラ嬢もすごい。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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