勝負脳の林先生だ。最近はこうした本が多いが、細神経細胞のもつ本能、「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」という3つの本能と、2つのクセ「自己保存」「統一・一貫性」が脳のパフォーマンスを落とす原因にもなることを指摘している。とくに「A10(エーテン)神経群」はそのカギとなる。
北京オリンピックの北島など日本水泳を勝利に導くことに一役かった林先生。「ぶっちぎりの勝利」をめざさなければ勝てない。「そろそろゴールだ」と思った瞬間、脳の血流は落ち、「もうがんばらなくてよい」と脳は判断してしまう。アテネオリンピック100mのジャマイカのパウエルの金メダルを逃したことも分析されている。
「だいたいわかった」と思えば、脳は「これ以上考えなくてよい」と完結してしまう。
脳に悪い7つの習慣とは
(1)「興味がない」と物事を遠ざけることが多い
(2)「嫌い」「疲れた」とグチを言う
(3)言われたことをコツコツやる
(4)常に効率を考えている
(5)やりたくないのに、我慢して勉強する
(6)スポーツや絵などの趣味がない
(7)めったに人をほめない
――の7つだ。これをやめれば頭の働きは倍増するという。
放送と通信の融合が進んでいく社会にあって、日本にも欧米型のメディア・コングロマリットが形成される日が近いと、河内さんはいう。大胆な予測もあえて本書でしている。
ICT産業立国――2015年で今の95兆円から200兆円台に育てるのが我々の構想だ。
インターネット通信で結ばれたユビキタス社会を実現する基盤をつくる。次世代道路交通システム(ITS)、先端技術をもつ医療センターと全国の病院を結ぶE-医療システム、最適の給配電システムでエコ社会を実現するスマート・グリッド――新たな電波割り当てが必要だし、それは間違いなく動いていく。
その大きな流れのなかに、テレビ、新聞社、出版社、そして金融機関、商社、電機、通信大手など大企業が人材と資金を提供するグローバルな企業複合体が「日本型メディア・インテグレーター」だ。主要新聞社や通信社に蓄積された人材と機能と力――津波のような大きな変容を迫られながらも、その第一線の力の重要性自体は変わらない。
「次に来るメディアは何か」を米国の動向と、日本の現状をつぶさに見て、描いている。難題に取り組む大きな肺活量を感じた。
必要以上に「悪いのは私のせい」と自罰的、自責的であった日本が、いつの頃からか、「悪いのは私じゃない」と攻撃的、他罰的に変わってしまった。
モンスターペアレント、モンスターペイシェント、クレーマー、新型うつ、「前世が悪い」のスピリチュアル・ブーム。
先生と呼ばれる者は萎縮し、組織は保身に走る。どうやって経験を積み上げたり、鍛えたり、人間自身を強くするかわからない。
訴訟もふえる。うつ病なのに自責感に乏しく、他罰的で、何かと会社とトラブルを起こす社員。メール、ネット社会はそれに輪をかける。犯人探し、責任転嫁。社会が厳しく、閉塞感が漂い、点数・成果主義が浸透している今、「他罰的でシンプルで、歯切れよくて威勢がいい」がウケる時代となってしまっている。
それが○○バッシングとして噴出し、しかもそれが不平等感、不本意感にもとづく「いびつな小さな正義感」として発散される。他人にだけ道徳的であることを求める人々が激増する。