20110218-book.JPG琉球王朝500年の末期。テンペスト――まさに世界も嵐、王朝も嵐、人心も嵐。アヘン戦争、列強が迫り、ペリー来航(浦賀より前に琉球へ)、そして大政奉 還、明治維新、廃藩置県――巨大であった清国の冊封(さっぽう)体制と薩摩藩との間のなかで、王朝国家の存続をかけて生き抜く主人公(父親の期待に応える ために宦官と偽り、孫寧温として王宮入りを果たす天才美少女・真鶴=女性として王の側室ともなる)それを囲む愛憎からむ人々。

  とにかく、波瀾万丈、奇想天外、時代の嵐と王朝内の権力闘争・毀誉褒貶、愛とロマンの宝塚を想起する大ドラマで面白い。九死に一生の連続で、そのダイナ ミックさは、息つくひまがないが、この時代、想像を絶する大変さ、混乱や悲惨、悲しみがあっただろうと思いをはせる。1872年に琉球藩設置、1879年 に琉球の取り潰し(琉球処分)、500年の琉球王朝が終わりを告げる。
  仲間由紀恵主演で舞台化されるが、この長編をどうやって演ずるのだろうか。


090717-1-book.JPGまず、南北朝時代を描いた、しかも村人の生活から時代の空気を描いたのは面白いし、あまり例がないのではなかろうか。しかも史実の裏付けがある。人物の配置と個性も鮮やか。黒澤明の「七人の侍」とはむしろ違っていて、これは悪党の襲来に備え、8人の侍を雇った村、弩を手にした因幡の百姓の物語だが、むしろその背景を描いている。

   柿渋を特産とし、塩との交易によって豊かな村をつくるということも背景にあるし、南北朝時代、楠木正成の活躍と死も物語の背景にある。


20110215-book.JPG  新聞もテレビも出版も危機に瀕しているという。不況、IT、IPAD、キンドルなど社会の構造変化がその原因だといわれるが、内田さんは、そうではない、コミュニケーションの本質について理解しているかどうかだと深くえぐる。

  「国際情勢には通信社のニュースを機械的に配信するだけ」「内政については"善悪二元論"で"犯人探し""ワルモノ叩き"を繰り返す」という定型に安住 し、マニュアル化されたメディアには知見がない。オリジナリティーがない。だから「情報を評価するときに最優先の基準はその情報を得ることによって、世界 の成り立ちについて理解が深まるかどうか」という知的欲求に対応できない。そこに危機がある。「メディアが"何も知らされてない市民"の代表のような、" グッドガイ市民"の立場で報道しているのはおかしい」「クレイマー化するメディア」と手厳しい。

  「知性の劣化」「世論(責任なきみんなという言説)と知見」「教育と"買い物上手になる学生"」「著作権」 「電子書籍」「本棚の持つ欲望」「出版文化がまず照準とすべき相手は"消費者"ではなく"読書人"」「贈与と返礼、コミュニケーション」「ありがとうとい う言葉」を論じてくれているが、いつもながら内田さんは本質をえぐり出している。


20110210-book.JPG 「女性天皇論」を著した中野正志さんは「パンドラの箱をあけることになる」といったが、これは「天皇とは、天皇制とは、日本の文化とは、日本の伝統と は、神道とは」という根源的な問いを発することになる。また「女性天皇というみちを残しつつ、臣籍降下した旧皇族の復帰で、男系による万世一系をはかるべ きではないか」と主張する人もいる。

 小林よしのりさんは、皇統の危機に直面しているとし、「偉大なる女帝の歴史」「女帝・女系継承は京城京で花開いた」「男系固執は明治以降の男尊女卑感情」等を示しつつ「皇位は直系継承が望ましい」と魂こめて述べている。ゴーマニズム宣言。


20110208-book.JPG 2011年「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。いわゆるサスペンス、ミステリーというのとは違う。ミステリアスな小説だ。

 少年漫画家の 和淳美が、自殺未遂で意識不明の弟・浩市と最先端の科学装置「SCインターフェース」を使ってセンシリング、意思疎通を続ける。その周りを漫画のアシスタ ント、彼女を世に送り出してくれた編集者、女性医師、技師、そして突如現われる中年女性がかこみ、リアルに描かれる。時には、突然、浩市が現れたりして幻 影の世界が描かれる。そして最後のドンデン返し。
 繰り返し繰り返し見る夢が私にもあるが、夢のなかでこれは夢だと思いつつまたそれも夢の中とい うことがある。夢、幻か、トラウマか。何が幻で何が夢で、現実に対する夢と夢見る身体そのもの、生きているということと死ぬということの彷徨と境界、そし てその往復、そのはっきりした切断に拳銃をこめかみに当てるという自殺が位置づけられている。

<<前の5件

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

太田あきひろホームページへ

カテゴリ一覧

最新記事一覧

私の読書録アーカイブ

上へ