新参者.jpg日本橋署に来た「新参者」・加賀恭一郎が日本橋・人形町を歩きながら、事件を丁寧に丁寧に、コツコツとコツコツと、粘りに粘りで解決していく。

江戸文化の残る町・人形町は、浅草橋、小伝馬町、浜町をはじめ私が住み、お世話になった人情の町だ。甘酒横町、水天宮、そして人形焼や鯛焼き・・・・・・。

家族、思いやり、優しさ、縁する人の心の通いあいともどかしさ、すれ違い、人情――東野さんの小説はこういうものであったかなあと思った。じつに面白い。


21世紀の歴史.jpg何たるスケール、何たる力業。21世紀の政治・経済を大胆に、世界的規模で予測した書。

市場経済の歴史、中心都市の条件、ブルージュに始まり、ロスアンジェルスに至る1200年から2025年までの9代にわたる中心都市の変遷。そこには東から西へ西へ、そしてニューヨークからロスに行って、次の10代は東京といっていいのに、ジャック・アタリは、東京といわない。

エネルギーの変遷、戦争が自国内でないこと、労働者が(雇用が)不安定でないこと。世界の人材を吸収する力、後背地、周辺地が備わることの必要性などを指摘する。


跡無き工夫.JPG八党連立の細川政権で走り回り、私の50歳の誕生日には時間をとって下さったり、街頭に共に立ったり、政策提言をまとめたりしたことを思い出しながら読んだ。

「離俗の人、離俗の思想」
「心身永閑」
「諸縁放下」
「リーダーは退を好む者であれ」
「無私ゆえの気高さ」
「欲無ければ一切足り、求むる有れば万事窮す」
「知る者は言わず、言う者は知らず(老子)」
「至誠の域はまず慎独」
「教育とは感化なり、濃密な師弟にあり」
「暫時不在 如同死人(白隠)」
「操り人形の吊り糸」
「没蹤跡(もっしょうせき)」――。


悪と日本人.jpg これも日本人論、日本文化論。しかし、宗教の側から専門の宗教学者・山折さんが、とくに「悪と日本人」という形で提起しているのは重要だ。キリスト教的二元論「善人と悪人が存在する」――。それを超えようと無垢なる人間を幻想するニーチェのいう「善悪の彼岸(仏教)」、親鸞の「教行信証」における阿闍世王(悪人が無条件に成仏できるといっていない)、弟子唯円の「歎異抄」における悪人正機説、「日本人が死に臨んで歌を詠むことに短歌的叙情のなかにすべてを溶かし込むとは、つまり論理的に善悪の問題を追及する態度をそこで放棄したこと」と

山折さんは語り、ルサンチマンを緩和する装置が日本の伝統的社会にあるとする(敵の霊魂を放置せず祀るなど)。そしてその奥底には日本人の仏教観に「無常観」「浄土観」「空」「無」の四つの命題が絡まり合っているという。


昭和史1926-1945.jpg「幕末史」の方を先に読んだが、「決断」がどのようにして行われ、敗戦にまで至ったか。
止める機会はいくつもあったのに、時流に流されマスコミにあおられ、強硬論を抑えられず行ってしまった昭和史。米内光政や山本五十六。昭和天皇。そして、近衛文麿等の盧溝橋(第一次)と三国同盟(第二次)・・・・・・。「政治的指導者も軍事的指導者も、日本をリードしてきた人々は、なんと根拠なき自己過信に陥っていたことか・・・・・・
なんとどこにも根拠がないのに『大丈夫、勝てる』だの・・・・・・」と半藤さんは現代の教訓を語っている。

<<前の5件

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

太田あきひろホームページへ

カテゴリ一覧

最新記事一覧

私の読書録アーカイブ

上へ