ぶれない生き方.jpgたとえば井伏鱒二について、「井伏鱒二の文章から伝わってくるのは、気取りもせず力みもしないが、贋物と真物とをしっかり見わけ、真物だけがそこに残されている心地よさである」「観念に惑うこともなく、一時の流行に染まることもなく、そこにはいつもゆったりと微笑を浮べ、自分の目で物を見、自分の見たところだけを信じている人がいる。この人がいる限り人間は大丈夫だという安心感はそのところからくるようである。井伏鱒二のその悠々たる風格に参るのである」と語る。

本阿弥の家の風にふれ、「天命を畏れ、己が心に省みて恥じぬことだけするのが、彼らの人間としての誇り」という。
大石内蔵助について「中心にどっしりと大石内蔵助がいて・・・巧言令色鮮し仁の反対の人間である」という。
良寛を「優游とした無所有」といい、「日本人は貧しさに強かった。貧しさに堪え、貧しさにもかかわらず心のゆたかさを求める文化を作りあげてきた」とし、最近、「物質的ゆたかさに酔い、ゆたかさには全く抵抗力がないことが判明した」と嘆く。
師とたのむ大岡昇平の「人間の根源的な問題と対決する姿勢を失った時、人間も文学もだめになってしまう」という言葉が語られる。
「私にとって生きるのは、『今ココニ』という時空があるだけである。・・・『今ココニ』がごろごろころがっていくところに私の人生がある」――。

中野孝次さん、2004年に逝去。79歳だった。


20101117-book.JPG  副題は「素粒子物理学で説く宇宙の謎」。この世で最も大きな宇宙を最も小さい素粒子で解明しようというのである。

 「ビッグバン宇宙論」をもとに宇宙の歴史を遡っていけば、そのサイズはどんどん小さくなり「素粒子」の世界になる。だから素粒子や素粒子に働く力を調べると宇宙の成り立ちが分かるという。
  まさに「ウロボロスの蛇」である。ウロボロスの蛇とはギリシャ神話に登場し、「世界の安全性」を表すシンボル。このヘビは自分の口で自分の尾を飲み込んでいる。


20101112-book.JPG不良長寿の反対は、副題の「まじめは寿命を縮める」ということだ。サプレッサーT細胞の発見者、免疫学の第一人者、奥村康先生の著書。いきいき長く生きる秘訣――それは免疫力を鍛える、なかでもNK(ナチュラルキラー)細胞を元気に保つこと。よく笑って動くこと。

 「たばこは悪」「コレステロール値の高いのは悪」――こうした従来の常識と思われてきたことを根っこから覆す。奥村先生と楽しい懇談をして学ばせていただいた。本書を読めば元気になるし、楽になるだろう。


サムライへの道.jpg昭和34年、東映第6期ニューフェイスとして映画界入りした千葉真一さん。

「キイハンター」「柳生一族の陰謀(柳生十兵衛)」「影の軍団(服部半蔵)」「風林火山」など鍛え抜かれたアクションは目に焼きついている。そして凄みのある声も、更にその眼も。

今は米に拠点を置き、日本と米を行き来して行動しているが、そこには「武士道」「日本人の魂」「日本に貫かれてきた精神性」を世界に発信したいというほとばしる情熱がある。

私は先日の千葉さんの「祝賀会」で、100年前の新渡戸稲造(「武士道」は1899年刊行)や岡倉天心(「茶の本」は1906年刊行)の話をした。

千葉さん出演の映画には、私たち世代の人生そのものと青春があり、心地よい共感がある。



新編中国を知るために.jpg前著「友をえらばば中国人」も素晴らしかったが、本書はさらにいい。

一つは、「中国人とは、どういう人たちか」「どういう思考法に立つか」を歴史、文化から浮き彫りにしてくれている。私は常々、日本人と中国人は同じような姿顔立ちをしている、だからわかりあっているはずだ、という大いなる錯覚が、事あるごとに両国関係を難しいものにしてきていると思っている。王敏法政大教授の「中国人の愛国心」「意の文化と情の文化」「ほんとうは日本に憧れる中国人(日本への愛憎共存)」だ。王敏さんは日本に住んで異文化を感じて書き、篠原さんは中国全土を歩いてこの書を書いている。

もう一つは、日中韓のナショナリズムをどう越えて和解と共生の道を歩むかということだ。篠原さんは、物質的文明を越えよ、精神性の文化が中国にも日本にもあるではないか、と嘆きながらも叫んでいる。松本健一さんが「日・中・韓のナショナリズム」のなかで、両国とも国内矛盾を外敵をつくって吐き出すのではなく東アジア共同体への道を探れといっているとおりだ。


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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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