環境・エネルギー、医療や介護や住宅、そして教育・・・・・・。日本は課題先進国であり、それを意識し、挑戦し、切り開いていくことによって新しい国家は築かれる。全くその通り。
「21世紀の国家像を示せ、ビジョンを示せ」という言葉を何度聞いただろうか。今を打開せずしてどうして未来があろう。しかも、直面している課題は、世界的だ。課題の克服は、世界のフロントランナーとして新しい社会システムを創造することになる。
小宮山さんは21世紀の環境とエネルギーのビジョンとして、ビジョン2050を提起している(物質循環システムの構築〈分別と最小限の廃棄、紙・プラスチック〉、エネルギー効率3倍にする。それはエネルギー消費を3分の1にすること〈自動車・エアコン・照明4倍、転換(高炉→新電炉、キルン→副成セメント)〉、自然エネルギー2倍(太陽電池・バイオマス・風力発電・水力・輸送・蓄電・グリッド)。
副題に「詭弁・逃げ・だましの倫理なき菅政治は日本を滅ぼす」とある。斬れている。
鳩山・菅両氏が小沢幹事長を非礼きわまりない斬り方をした「人情紙よりも薄い民主党人間関係」から始まる。どこにも人間哲学がある。
「巧言令色鮮し仁」「君子は本を務む。本立ちて道生ず。(本とは基本)」「利して利する勿れ(国民の利益のためにのみ働き、自分の利益をはかるな)」「選挙至上主義と自分さえよければ主義の執行部」――。
そして、後半は労働組合についてだ。「労働組合は政治権力の番犬になってはならない。あくまで独立自尊を貫くべし」とし、「君子の交わりは淡きこと水の若し。小人の交わりは甘きこと醴(れい)の若し。君子は淡くして以て親しみ、小人は甘くして以て絶つ」を示す。
「文藝春秋」に毎月、連載されたものをまとめたもの。歴史・哲学を踏まえ、しかも現場を見ての確立された視点からの塩野さんの発言は、カミソリというよりオノで真正面から叩ききる強さがある。
イラク戦争から本書は始まるが
「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと思う現実しか見ていない」(ユリウス・カエサル)
「危機打開に妙薬はない。ということは人は代えたとしても目ざましい効果は期待できないということである。やらねばならないことはわかっているのだから、当事者が誰になろうと、それをやりつづけるしかないのだ」(「継続は力なり」の項)
「ドイツの敗戦処理を見習えと言ってくるがあれも見習わない方がよい。・・・・・・戦前戦中の悪のすべてをヒットラーとナチにのみ転嫁したこのドイツのやり方は、ドイツ人自身の自己批判能力を衰えさせてしまった」(「負けたくなければ」の項)
――各篇に全てといっていい。考えさせられることが詰まっている。
