アメリカに代表される市場重視型の福祉レジームも、北欧諸国の社民主義型の福祉レジームも、そして日本が従来とってきた家族依存型の福祉レジームも、いずれも危機に直面している。日本の場合は限界という言葉が適切かもしれない。頑張れる限界ということだ。まさに、ライフ・ワークバランス、仕事と出産・育児の両立、夫婦と企業も含めての働き方の再検討という課題を克服し、少子高齢社会に対応するということは、今までの日本社会のあり方の劇的な転換なくして乗り切れない。

今までの高齢者支援の福祉政策ではなく、働く女性への育児支援、子供の保育や若者の職業教育に、振り向けるためには、彌縫策(びほうさく)ではなく、土台から作り直さなければならない。これは長期にわたる戦いだ。
わが党の「少子社会トータルプラン」の実現を急がねばならない。


「美しい国へ」.jpg政治家の著作は、過去の政治的事実を振り返るもの、めざす政策の提言、あるいは自分史など、いろいろある。野中さんや小沢さんをはじめ読ませていただいているが、安倍さんは自ら「わたしの生まれたこの国に対してどんな感情を抱いていたか、そして・・・・・・」「正直につづったものだ」と述べている。
保守本流たらんとしての志と、現在わが国が直面している課題についての率直な感情が伝わってくる。 


060728「日本経済改造論」.gif「デフレ不況説のまやかし」「郵政民営化はアナクロニズム」「高齢化社会は豊かな社会」をはじめとして、構造改革の議論の前提となっていること自体に疑問を提示している。
日本企業の収益率が低いということの問題、直接金融の育成が大事であり、銀行が統合して何か解決したと思ったら大間違いであること、日本に革新的企業が生まれるよう構造変化に対応した手を打つべきこと、

ITを駆使した21世紀型グローバリゼーションの現実をもっと直視して対応すべきこと、日本の高物価の体質を変えるよう何に手を打つべきか。過剰サービスをやめて安いものを、保護的規制を払い農業・サービス業などの低生産性を克服すべきこと、そして年金や税制のスタート時からかかえた矛盾が時代の大変化のなかで噴き出し、抜本的改革が求められていることなどが、示される。
1940年体制ということを指摘した野口さんだが、1つ1つ根源から考えることを学ぶ。


「陛下の御質問」.jpg富田朝彦・元宮内庁長官のメモが衝撃を呼んだが、岩見隆夫さんのこの本には、「靖国問題などの処理は適切」という富田長官から中曽根総理への天皇の伝言が書かれている。
じつは10年ほど前に読み、そして昨年だったと思うが、文庫本の第一刷を読んだ。きわめて魅力的な本で「日本の文化としての象徴天皇」の「沈黙の存在感」「制御された抑制的な言語」「平和志向」「生きとし生けるものへの愛情」「学問的正確さ」などが描かれ、

素顔を浮かび上がらせてくれている。
岩見さんの文章自体が静かで配慮が行き届いている。


「他人を見下す若者たち」.jpg仮想的有能感という概念を提示している。「現代に生きる人々は"怒り"の感情が生起しやすいことと同時に、仮想的有能感という心性を獲得してしまった」という。自己愛的有能感と自尊感情と仮想的有能感の違いと関係性が示されるが、現代人には「自信のなさ」「不安」「関心は他ではなく自分にあり、社会や他者への関心は薄く、友人が自分をどう見ているかについて意識過剰となる」「人間は本来、常に自分を高く評価していたい動物だが、意欲がなく、下方比較で安心する」

「安易な自己肯定」「自尊感情が傷つけられた怒り」――などがあると指摘する。
なぜそうなっているのか。「貧しさから豊かさへ」「権威主義から民主主義へ」「宗教の衰退」「集団主義から個人主義へ」、そして「新たな電子機器でパワーを獲得できている」「マスメディアの発達」「個人主義が先鋭化」「テレビなどのお笑い番組のように人を軽く扱う風潮」を指摘する。
そのとおりだと思うが、問題はどうするかである。

<<前の5件

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

太田あきひろホームページへ

カテゴリ一覧

最新記事一覧

私の読書録アーカイブ

上へ