青春の疾走感がいい。今の若い女性の仲間内の言葉遣いは、こんな感じなのか。「てかアタシも『おつかれさま』だわ」「葵! なんて言ったんだ! 白状しろ!」「だって、クリスマスイブの打ち上げで、第一声が『メリークリスマス』でもおかしくなくない?」・・・・・・。「・・・・・・すごすぎない?」「・・・・・・かっこいい。かっこいい以上に、すごい。メロディーもすごいし編曲もすごい。歌詞もすごいし、とにかく、その、すごい」といった具合。テンポのいい会話がどんどん続く。
啓栄大学附属女子高の室瑞葉がクラスメイトの三浦朝顔に誘われて、結成したバンド「さなぎいぬ」。朝顔はギター・コーラス、瑞葉はベース、加わった広瀬緋由(ドラムス)、柏葵(ボーカル)の4人。夢はいつか紅白に出ること。荒唐無稽に思われたとてつもない夢だが、朝顔が初めて作ったオリジナル曲「光」を聞いた瞬間、パンと目の前が弾ける。とても良い、抜群に良い。これならいけるかも・・・・・・。
最初は文化祭。緊張する。やがてスタジオ審査。「死ぬほど練習」する。「朝顔は天才。しかも努力もめちゃくちゃするタイプの天才。もう異次元」と思う瑞葉。そして群青モーメントファイナル・・・・・・。グランプリは取れなかったが、圧倒的な演奏をする。
天才的な朝顔。瑞葉は次第にバンド活動で、自らの才能の限界に悩むようになる。「辞めないでよ」「私やり切ったし」「やりきってないじゃん!」・・・・・・。「私は朝顔の友達だけど、それ以上に朝顔のファンだから。私の才能がないせいで、朝顔の可能性を狭めたくない」・・・・・・。
公認会計士になり、就職してからも心の古傷がうずく瑞葉。そして「さなぎいぬ」は新しくベースに小柴夢乃を加えた4人で紅白に出る。
「なんだかんだ言って、あの頃がいちばん楽しかったかも」「それはさすがに嘘。絶対今の方が充実してるでしょ」・・・・・・。「『光ってるんだ』今宇宙一光ってるんだよ私たち」「『光った』終わろうがなんだろうが光ってるんだよ。『光った』この光が私たちの意味だよ。『光った』音がまだ鳴ってるよ。『光った』私たちはたしかにに光ってたんだ」・・・・・・。
「光った」時もあり、鈍色の時もあるのが人生だろう。だが、青春時代の仲間は続くものだ。
