じつに感動的だ。坂本先生はよく歩いて会社をみている。「顧客満足」とか「株主満足」というが、ここで紹介されている中小企業5社が、躍動しているのは「社員の幸福」を社長がめざし、その社員の喜び、真心が、下請け企業や地域の喜びへと連なり、それが増収・増益・発展をもたらしているということだ。
環境が悪い(景気や政策が悪い、業種・業態が悪い、規模が小さい、ロケーションが悪い、大企業・大型店が悪い)という言い訳が全くない。
「杉山フルーツ」などは、悪戦苦闘の全国お決まりのさびれた商店街にあるという。「日本理化学工業」「伊那食品工業」「中村ブレイス」「柳月」――いずれも素晴らしい。「幸福」ということは、あくまで人、人財ということだ。
お客様から愛される、人と人との心を結ぶ――。
自分の問題として大いに考えさせられた。
政治家の本は、読書録には書かない。野呂田芳成著「思い切なれば必ず遂ぐるなり」以外は、そうしてきた。ただ、このいわゆる上げ潮路線といわれる中川さんの新刊と消費税についても堂々と提起する与謝野馨著「堂々たる政治」は、党内にもこの4、5月の必読書だといってきた。私自身、「家計を元気に、国に勢いを」といい続けており、当然、両書は注目してきた。与謝野さんの本を読めば、それが単なる財政再建路線でないことはよくわかる。
「上げ潮路線」と「両輪路線(成長力強化と財政再建)」、そして「日本を滅ぼす"ステルス複合体"(官僚制)批判」と「市場原理主義批判」、さらに「官愚を乗り越える民賢」と「堂々たる政治」――具体的な戦略、戦術をも含めて読ませていただいた。それに加えて、今、「グローバリゼーション」「世界に猛威をふるう金融、コモディティの新しい世界」の構造変化の要素をもっともっと踏まえなくては日本は行き抜けないと思っている。