政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO,71  水の貴さを社会に浸透!/水循環政策担当大臣に就任

2014年6月 6日

5月20日、初代の水循環政策担当大臣に任命された。今年3月に水循環基本法が国会で成立し、水の総合的政策の司令塔を担うものだ。この3月には、「国連水の日」(3月22日)の式典が都内で開催され、世界各国からの参加者を前に、私が日本の水に関わる思想や技術について基調講演を行った。また6月3日には、大きな水害を経験した全国の市町村長が集まり、「水害サミット」が開かれた。


この法律は、水循環(降った雨が地下に浸透し、河川を流れ、海に至って蒸発し、また雨が降るという一連の流れ)全体に初めて焦点を当て、今後の水政策を展開する上で基本となるものだ。


水は貴い。しかし日本では古来、水に恵まれたということもあってその意識に乏しく、"水も空気もタダ"という時代が長く続いた。しかし今や世界的な水の争奪戦が激化している。水循環担当大臣の役割は、水の貴さを深く、また具体的に浸透させることだと思う。


我が国は世界有数の多雨地帯であるモンスーンアジアの東端に位置し、年間降水量は約1,700㎜(世界平均の約2倍)。水は古から人々の営みに利用され、田畑を潤し、国民に大きな「恵み」を与えてきた。さらに最近は、小水力発電などクリーンなエネルギーを生み出す資源としての重要性も高まっている。


一方、降水量は地域的、季節的に偏っており、しかも地形が急峻なため降った雨は一気に川から海に流れる。特に近年は、水災害が集中化、局地化、激甚化している。さらに、都市の地下街など文明の進歩によってかえって脆弱性が増している。これに対する我が国の河川技術は、大きな特徴がある。古来より自然を力で制御するのではなく、「河川をなだめ」「自然と折り合う」という思想で努力と工夫が積み重ねられてきた。


水の「恵み」を活かし、「災い」から国民の命を守る――私はその先頭に立つという任を受けたわけだ。

今後の取り組みで私が重要だと考えているのは3点。


まずは「洪水と渇水」「治水と利水」等の対策を総合的に目指していくということだ。


第2に水行政の総合化・一体化だ。水に関しては、上水道、下水道、農業用水、工業用水など担当省庁が異なり、縦割りになっている。また、水質や生態系の環境保全などについては複数の省庁が関係する。その総合調整だ。


そして第3に、国民に対する普及・啓発も重要だ。水循環基本法では8月1日が「水の日」と定められた。また3月には「雨水の利用推進法」も成立した。これを契機として、水の大切さ、公共性についての理解と関心を深める取り組みを進めたい。雨水を貯めて有効利用したり、お風呂の水を再利用したり、あるいは逆に、大雨の時はお風呂やトイレの水を流さないなど、一人一人が小さなことでも協力できることがある。そうした取り組みが着実に広がっていくよう、初めての「水の日」に向けてスタートダッシュしたい。


これから梅雨、台風の出水期、さらには水不足が心配される夏を迎える。水の貴重さを国全体で共有し、水が健全に循環できる社会を目指して、新たな取り組みを進めていきたい。

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