政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN
NO.154 医療提供体制の拡充を急げ!/デルタ株を抑える人流抑制
デルタ株による感染が猛威を振るっている。9月1日(火)の全国の感染者数20,025人、重症者66人、死亡者82人。全国に感染が広がっていること、ワクチン接種によって65歳以上の重症化が減っているものの40代や50代の重症化が進んでいること、10代、20代ばかりか子どもにも感染が急増していること等、デルタ株の感染力が強いことが顕著となっている。そのために、「自宅療養者の急増」「自宅療養中の妊婦が入院できず自宅で出産したが新生児が死亡」などが起きており、「ホテル等、宿泊療養施設の確保」「軽症・中等症者の重症化を防ぐ『抗体カクテル療法』の早期投与体制の拡充」「重症化リスクの高い感染者が早期入院できる医療提供体制の整備」など、緊急対応が不可欠だ。
緊要なことは「人流を抑えるなどで感染拡大を防止すること」「軽症・中等症に対処し、重症化を防ぐ医療提供体制の早急な構築」だ。とくに自宅療養者の急増に対応する「ホテル等の宿泊療養体制の拡充」と「酸素投与、治療を行う臨時医療施設の設置・拡充」だ。政府も都道府県や医療関係者との連携を強めて実施に努めているが、急ぎ具体化することが重要だ。治療に当たって軽症・中等症者の重症化を防ぐ新薬の中和抗体薬「ロナプリーブ」を用いる「抗体カクテル療法」があることは以前と違って心強いが、これは点滴を行う医療行為であるだけに、医師・看護師が不可欠だ。療養施設の確保と医師・看護師への財政面も含めた思い切った支援を断行しなければならない。東京都ではこのほど、一時的に患者を受け入れて酸素投与などができる施設を拡充することが決定した。自宅やホテルで療養中に症状が急変しても救急搬送、入院調整が難しい状況を打開するためだ。具体的には、旧国立総合児童センター「こどもの城」(渋谷区)に酸素投与できる「酸素ステーション」を約130床規模で開設し、救急搬送患者を受け入れるほか、都立・公社病院でも、入院調整中の患者への対応が強化される。政府として「酸素ステーション」設置を打ち出しているが、中等症患者が必要としているのは酸素だけではない。新薬の「抗体カクテル療法」、レムデシビルの治療開始などを具体的に組み合わせる体制・制度づくりだ。
そのうえで「自宅療養支援」の充実が大事となる。感染経路に占める家庭内・職場内感染が増加している。自宅療養者は「家族への配慮」「病状急変の不安」に脅かされており、相談体制や健康観察などの支援強化、宿泊療養施設への入所体制などの拡充が急務だ。訪問医への支援も欠かせない。使命感に頼るにはあまりにも過酷であり、医療関係者への支援と体制整備を一気に行う必要がある。また感染者の入院調整など多大な業務を担う保健所に対する支援も急務だ。やるべき課題は症状の各段階できわめて多いが、時間との戦いだ。
ワクチン接種はかなり進んできた。ファイザーやモデルナ製ワクチンも、2回接種を終えた者が46%を超え、1回打った人が57%を超えた(9月1日現在)。65歳以上の接種率も当初の予想をはるかに超え90%に届こうという勢いだ。その結果、明らかに65歳以上の感染者数、とくに重症者数、死亡者数は減少しており、ワクチン効果は歴然としている。まん延急増とのせめぎ合いとなっており、9月の接種加速が勝負だと思う。ワクチンは市区町村には2週間おきに供給され、9月の供給を極力増やすこと、つまり13クール、14クール、15クールの3回分をどれだけ多く市区町村に届けることができるか、国の大事な責務だ。供給の箱数は都道府県から各市区町村に内示されているが、更なる上乗せをお願いしたい。市区町村は真剣であり、医師会との連携で体制も懸命に整えている。大都市では、大規模接種、職域接種も進めているが、最終的に大事な接種の主力部隊は市区町村である。ワクチン接種の出口戦略を考えた場合、この市区町村に努力してもらうことが大事であり、"感染爆発"の緊急事態宣言下の地域への更なる供給支援が大事だ。加えて10代への接種加速、子どもたちへの接種をどうするか、学校での感染をどう抑えるかと課題は多く、早急の決断が迫られている。いずれにしても9月のワクチン接種の加速を何としても果たさなければならない。