政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.159 水際対策の緩和を具体的に速く!/目立つ留学生、技能実習などの遅れ

2022年3月 4日

ロシアのウクライナ侵攻の暴挙は、断じて許せないことだ。国際社会と結束して、ロシアへの非難、強力な制裁措置を行い、人道支援を含むできる限りの支援を機敏に実行しなければならない。

新型コロナとの闘いが始まって2年。猛威を振るった「オミクロン株」の感染がピークを打ったように言われるが、依然として感染者数は多く、警戒を緩めてはならない状況だ。ワクチンの3回目接種の加速、増えている重症者への医療体制の確保は緊急を要することだ。政府・自治体・医療関係者の努力もあって、何とか1100万回の目標を掲げて接種が行われ、自衛隊を使っての東京・大阪の大規模接種会場も開設された。とくに医療体制の確保が緊要だが、現場からは、ひっ迫が続き「限界に近い」との悲鳴が聞こえる。象徴的な例は、消防庁が救急患者の受け入れ先がすぐ決まらず4回以上照会をかけた「搬送困難の事例」が、220日までの1週間で6064件、過去最多となっているという。心筋梗塞などコロナ以外も冬場で多く、搬送状況だけを見ても、救急医療のひっ迫は相当のものだ。自宅で不安のなかで過ごしている感染者も多く、治療薬や飲み薬が現場に一日でも早く届けられること、医療提供体制の確立を強く求めたい。3月はまさに正念場だ。

一方、今後の経済・社会活動の再スタートの構えもきわめて重要だ。2022年度予算が222日、例年にない速さで衆院を通過し、参院での審議に移っている。一般会計総額は過去最大の1075904億円。コロナ対策、成長と分配に力を注ぐ予算となっている。医療提供体制の確保や国産ワクチン・治療薬の研究開発強化に力を入れ、5兆円の予備費を計上。成長戦略として「デジタル」「グリーン」を掲げ、分配戦略として介護・保育現場で働く人の給与を3%引き上げ、成長分野を支える人材育成など「人への投資」が柱となっている。私が長年訴え続けてきた「防災・減災」の関連予算も38736億円となった。経済・社会を元気にするためにも早い執行が重要だ。

butikamasi202203-1.jpgこうしたなかで、喫緊の課題となっているのが、水際対策の緩和だ。岸田首相は217日、「観光客を除くビジネス目的の短期滞在者、留学生、技能実習生らの入国を31日から緩和、1日当たりの上限を5000人に拡大する」と発表した。「日本は厳しすぎる」との声が世界からも上がっていただけに必要な措置である。ここで大事なのは現状把握と具体的な実行措置だ。日本での全産業の外国人労働者は、これまで約172万人といわれる。そのうち定住者・永住者等約54.6万人を除くと、留学生(留学生のアルバイト等)約37.0万人、技能実習約40.2万人、いわゆる専門的・技術的分野で就労目的で在留が認められる者が約36.0万人の3つが主なものだ。

ところがこの2年、コロナで打撃を受けているのがとくに留学生で、新規入学の比重が高いため、約2割の減少となっている。現在、在留資格認定証明書の交付を受けているのに未入国者となっている留学生は、じつに15.2万人に及ぶという。「4月からの入学の目途がつかない」「他国に留学先を変えようと思う」「大学間の交換留学を止める国が出ている」という深刻な声が上がっている。公明党が「留学生が止まってしまうと、将来の外交・経済にも重大な影響を及ぼす」と強く訴えているが、1日上限5000人の枠で何人の留学生が入ってこれるのか。2000人としても2か月以上かかることになる。政府も314日から上限7000人に増やす方向になったがまだ少なすぎる。具体的な上限の緩和、水際での検疫体制等の拡充、大学側の受け入れ体制強化など機敏な具体的実行が不可欠だ。とくに、世界に向けて留学生受け入れの強いメッセージを出すことを強く求める。緊急を要することだと思う。

butikamasi202203-2.JPG技能実習も建設、介護、農漁業など、日本では外国人労働者として大切な役割を果たしている。私は3年前の入管法改正の際、「安い労働力が得られるという考えを一切改めよ」と言った。「日本人と同じ待遇、賃金を」「日本の若者が働きたくなる職場をつくることが大事だ」とし、建設業ではいわゆる3K(きつい、汚い、危険)という職場を改善し、新しい3K(給料がいい、休暇がある、希望がある)の職場にしようと訴え続けた。介護や農漁業でも劣悪な労働環境では害が多方面に及ぶ。コロナ禍で、留学生ほどではないが、技能実習も1割弱減っており、現場の労働力不足が大変に懸念される。ここもコロナ後の経済・社会をめざして対策が急務だ。外国人労働者の待遇改善と日本の働き方改革が同時に行われてこそ、日本の底力たる現場の雇用環境が整うことを絶対に忘れてはならない。

この3月――。「ウクライナ」も「コロナ」も、そして「水際対策」も「原油・原材料高騰」も、正念場となっている。現場で起きている問題に速くて強い、それが政治だ。

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