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佐治敬三(1919~1999)――稀代の経営者であるサントリー二代目社長、生産量世界一のウイスキーをつくり、"大阪最後の大旦那"といわれた存在感と人間味あふれる経営者。一方の開高健(1930~1989)――貧困のどん底から佐治敬三に活躍の場を与えられ、コピーライターとして才能を開花、芥川賞受賞、破天荒の世界基準の無類派作家。


戦後の荒廃から高度成長期の日本。その先頭をかきわけ、ぶつかりながら走った佐治敬三と開高健、そしてその仲間たちのエネルギーはすごい。「身体が大きくて声がでかい。底抜けに明るく豪快で無神経な言動も多いが、実はシャイで傷つきやすく繊細な神経の持ち主。そして心の奥に、触れたくない心の傷を抱えている。それが二人の共通点だった」「彼らは互いの中に似たものを感じ、惹かれあい、刺激しあって人生をより豊饒なものとしていった」と北さんはいう。佐治の父親・鳥井信治郎、そして「マッサン」の竹鶴政孝・・・・・・谷沢永一など。その友情と絆は、不運と幸運を超えた激情、豪流の人生を形づくる。北さんが時折りはさむ珠玉の言葉がとてもいい。


火山入門.jpg

昨年9月の御嶽山噴火から浅間山、桜島、口永良部島、そして大涌谷(箱根山)や蔵王山・・・・・・。日本には活火山だけで110、陸上の火山の7分の1が日本にあり、常時観測しているのは50火山に及ぶ。


「日本誕生から破局噴火まで」と副題にあるように、「プレートの動きが地震も火山も生み出してきたこと」「地震と火山噴火の関係とメカニズムの違い」「火山災害の歴史」「噴火の5つのタイプ」「どんな大噴火がこれから日本を襲うのか」「危ない火山は意外に近くにある」など、解説する。そして「予知は一筋縄ではいかない。それは噴火予知にとって肝心な、地下でなにが起きているかということが、わかっていないからだ」「マグマがどう動いて、どう噴火に至るかというそれぞれの段階での学問的な解明がまだできていない」「有珠山の2000年噴火で直前予知に成功したのは、350年前から正確な記録が残る7回の噴火を繰り返してきた、世界の火山では例外的な好条件に恵まれたためだ」という。


そのうえで、私たちは被害最小化のための観測体制、人材確保に努めることだ。最後に「火山国日本に住む覚悟を日本人は持っているべきだろう」と結んでいる。


池上彰のこれが世界のルールだ.jpg

「物事をわかりやすくする論理は、因数分解なんですね。括弧の中の話をすると凄くわかりやすくなる」「伝える情報を減らすことで、わかりやすく説明できる。複雑なニュースでも、いろんな要素の中からそぎ落として、これだけは知っておいてほしい、というものを選別して、情報量を減らして伝えている」「ニュースの内容を逐一追うのではなく、基礎基本から解説する」「世界は目まぐるしく変化している。変化に対応するには、変化の底流を知らなければなりません。そのための情報収集と整理」・・・・・・。


「組織拡大術――イスラム国が急成長したわけ」に始まり、「トラブル解決法」「ホンネを見抜く」「歴史の勉強法」「究極のリーダー術」「お金、マネー、資本を知ろう」「交渉術、プレゼンテーションを磨け」「ビジネスのカギは科学にあり」「インタビュー術」・・・・・・。本当にわかり易く解説してくれている。


人生とは勇気.jpg

「クイズは人生と同じ。そのときボタンを押せるか押せないか。人生とは勇気、と、毎回思う」――。人生とは勇気だという児玉さんの生き方、決断の背後には、「人生は祈りの旅路」「人間が生きるということは"祈り"なくしてはあり得ない」「亡き母が僕をどこからかいつも見守ってくれている」「娘の死は天から鉄槌を受けたような衝撃であった。僕は心の底からの笑いを失った」「雨降らば降れ、風吹かば吹け。花に嵐の譬えもあるぞ、さよならだけが人生だ。心の中でにわかに輝きを増した言葉だ」――こうした誠実に、武士のように一人歩んできた人生哲学がある。


亡くなってもう3年以上たつとのこと。子供の頃のこと、俳優の時のこと、テレビに出るようになってからのこと、そして読書。素晴らしい生きざま、人生哲学が、静かににじみ出ている。中江有里さんが解説を添えて(捧げて)いる。


なぜ、日本人は横綱になれないのか.jpg

表題とは違って、舞の海さんの相撲とともに歩んだ人生と、大相撲に寄せる相撲哲学、相撲道が語られている。だから朝青龍はもとより、白鵬に対してさえ、張り差しなどはやめよ、堂々たる横綱であれと厳しい。佐田の山親方、貴乃花の姿にふれつつ、境川部屋の親方や豪栄道に「豪栄道は相撲の型をつくれ」と期待を寄せる。


淡々と語っているのが印象的だが、あの身体で、あんな相撲がとれるまでの激しい稽古と研究は書いてない。ちなみに日本人の横綱は、1998年の三代目若乃花誕生以来、生まれていないし、2003年貴乃花引退以来、横綱はいない。優勝も2006年初場所の栃東以来、日本人力士の優勝はない。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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